ども、最近の冷凍食品のレベルの高さに驚く岡田達也です。
お金の話というのは生臭い。
特に日本人にはその感覚が強くあるらしい。
それを承知の上で金の話を書く。
書かせてもらう。
いや、
書かずにはいられない。
人生はお金ではない。
だが、
生きていくにも、死んだのちにも、お金は必要なのだ。
と書き出したものの、安心して読んでいただきたい。
2023年度、国家予算の防衛費強化よりは笑える話だから。
*
先月、伯母・吉恵さんが他界し
甥の自分が喪主を務めた。
もちろん葬儀屋さんへの支払いも私の大事な仕事だ。
吉恵さんは生前、とある葬儀屋さんと契約していた。
いくらかの金額を入れて会員になっておくことで
実際の葬儀の金額が非会員の方より多少安く済みますよ、というシステム。
そりゃ、葬儀屋さんも商売だもの。
「うちでお葬式をやっていただけることを約束してもらえるなら割り引きします」
という仕組みは真っ当だと思う。
実は
私の母・秀子さんも
吉恵さんと同じ葬儀屋さんと契約していたし
実際に利用させてもらっていたのでそのシステムはよく理解していた。
*
葬儀を終えて
「次はお父さんの番だなぁ」
と呟く父・隆夫さん(87)を見ながら
フト、
フト、
フト、ある思いがよぎった。
「……あれ?」
「あの、せっかちで、準備万端で、用意周到な秀子さんが、自分だけ葬儀社と契約していたのだろうか?」
「そんなはずはない」
「彼女のことだ。半強制的に隆夫さんも契約させているはずだ」
「僕は秀子さんの息子だ」
「世界の誰よりも彼女の思考と行動がわかる」
「間違いない」
という考えを巡らせた。
だが、
それと同時に、
どうにも嫌な予感が拭えなかった。
「……まてよ?」
「あの、せっかちで、準備万端で、用意周到な秀子さんが、隆夫さんの分も契約していたとして、それで安心して良いのだろうか?」
「いや、安心できない可能性も大いにあるぞ」
「だって、今までに何度も見てきたではないか」
「このクソ親父の愚行を」
「僕は隆夫さんの息子だ」
「世界の誰よりも彼の思考と行動がわかる」
「おそらく間違いない」
という嫌な予感が巡った。
隆夫さんに尋ねた。
「あのさーー」
「なんだ?」
「葬儀の支払いも無事に終わったよ」
「ご苦労様だったなぁ」
「吉恵おばちゃんも、秀子さんと同じで、ちゃんと生前に契約してくれていたみたいで。多少なりとも安くすんで良かったよ」
「そうか」
「うん」
「それはありがたいな」
「うん。でねーー」
「なんだ?」
「俺の記憶が間違いじゃなければ、お父さんも契約してるよね?」
そう言ったのは一か八かの誘い水だ。
実際のところはわからない。
「あぁ、あれなーー」
「……」
「契約しとったけどなぁ」
「……」
「ちょっと前になぁ」
「……」
「解約した」
「!!!!!!!!」
つづく