ども、ようやく春が見えてきて嬉しい岡田達也です。
2月24日
我が父・隆夫さん(87)の
実の姉である吉恵さんが亡くなった。(享年92)
数年前から
子供がない吉恵さんを心配した
妹の多鶴子さん(82)が
超が付く老老介護のため
鳥取県倉吉市にやってきて同居していた。
姉の身の回りのお世話をし、
ときには派手にケンカし、
ときには二人で酒を飲んで涙し、
そして最後まで看取ったのだから
すばらしい働きだと思う。
これで心置きなく東京に戻れる
……はずだった。
*
私の母・秀子さんが亡くなった後
「喪主」という人生初の大役を無事に勤めてホッとしていたのだが
本当の意味で大変なのはその後だった。
保険、年金、貯金、税金、携帯電話、クレジットカード、○○組合、etc
人が生きていた証というのはいっぱいあって
中には自然消滅を待てば良いものもあるんだけど
公的なものはそうはいかず事後処理をせねばならなかった。
(血で血を洗うような財産が残っていなかったことだけは不幸中の幸いだった)
これが、
これが、
これが、本当に大変だった。
何度も市役所と年金機構と銀行を往復し
さらには法律事務所まで足を伸ばし
必要書類をかき集め
書いて書いて書いて書いて書いて書いて
押して押して押して押して押して押して
どれほどの時間がかかっただろう?
とにかくやっとの思いで処理を済ませた。
言っておくが
秀子さんは看護婦であり、せっかちな人でもあり、準備に余念がない人だったので、
身の回りのことはきちんと整理整頓してあったにもかかわらず、だ。
僕は、彼女が亡くなる5年以上前から
「私が死んだらこれとこれが残るから、これをああして、あれをこうして」
と、徹底的に説明されていたので準備万端なつもりでいたけど
役所での手続きというのは想像以上に難関で
「こんなに準備していても、スムーズに進まないのか……」
と、何度も心が折れそうになった。
*
多鶴子さんから電話があった。
「たつや!」
「なに?」
「今日も税理士さんのとこに行ってきたけど、もう、大変!」
「だからそう言ったじゃない」
「なんかね、配偶者だったり子供だったら、話が早いらしいんだけどーー」
「うん」
「姉妹だと必要書類が倍ぐらいいるって!」
「そうなんだ」
「しかも姉妹全員の戸籍抄本が必要だったりして!」
「うん」
「だけど(姉妹は)倉吉だけじゃなくて、鳥取と、大阪に散ってるじゃない!」
「うん」
「それが全部いるって!」
「まぁ、そうだろうね」
「全員分を郵送してもらわないとダメなのよ!」
「そうだねぇ」
「たつやっ!」
「なに?」
「何を吞気そうな声を出して!」
「いやいやいや」
「私が調布に帰れなくてもいいの?」
「(笑)。そんなことは言ってない」
「80歳過ぎたおばあさんには理解不能な話ばかりで、パニックになったわ」
「ま、そんなことだろうと思って、隆夫さんの戸籍抄本と印鑑証明書はもう用意してあるから安心して」
「えっ? 準備してくれてたの?」
「うん」
「さすが、たつやっ!」
「経験者だから(笑)」
「市役所?」
「いや、今はマイナンバーカードがあればコンビニで出せる」
「ええっ!!!!!!」
「そうなのよ」
「たつやっ!」
「?」
「私のもできる?」
「カードがあって、暗証番号がわかれば」
「明日、JRで鳥取に行くから、それお願いしていい?」
「いいけど。こっちが行こうか?」
「いや!」
「?」
「ちょっと気分転換したい!」
「(笑)」
「一日でもいいから倉吉の市役所から遠ざかりたい!」
「(笑)」
「午前中に行くから駅まで迎えに来て!」
「わかった」
*
ってことで
今日は多鶴子さんのお供をしてきます。
せめてお昼ご飯でもご馳走して
彼女の疲れを癒してあげようかと思います。
え?
隆夫さんですか?
隆夫さんは多鶴子さんと関係なくパチンコ屋へ出勤される予定です。
では、また。
追伸
余計なお話世話は承知の上で。
高齢の親がいる方は真剣に考えておいた方がいいと思います。
理想は、すべての通帳と印鑑の在りかと、できれば暗証番号も、それから証書関係だけでも何があるのか把握しておくことが大事です。
ま、実の親でも暗証番号を聞き出すのは気が引けるものですけどね。
すべてを手探りで一からやるとなると恐ろしく時間がかかりますよ、間違いなく。