ども、左腕が軽くなった岡田達也です。
キャラメルボックスOB・今井義博くんは
一時期「インタビュー詐欺(師)」と呼ばれていた時期がある。
劇団をやめてライターの道を選んだ彼は
劇団への恩返しという意味も込めて
当時、劇団が毎年販売していた
『キャラメルボックス・ハンドブック』の編集にも携わり
多くの劇団員のインタビューも請け負っていた。
劇団員にインタビューするだけなら何の問題も無い。
だが、
そのインタビュー場所が
必ず取材対象の俳優の家で
そして
インタビューの終わり時間が必ず夕食時なので
そうなると取材対象者が
決まって「今井、夕飯食べていく?」となる。
その流れ自体に別段おかしなところはないが
これが重なっていくと、相手も気付く。
「……なんで今井にこんなに飯を食わせなきゃならんのだ?」
僕の記憶が正しければ
最初に気付いたのは石川寛美先輩だった。
あるとき、石川さんがこう言った。
「今井ってさぁ、インタビュー詐欺じゃない?」
僕はそれを聞いて爆笑していた。
*
先日
今井義博くんに
「頭領(彼は僕をこそう呼ぶ)、スマートウォッチを買った方がいいです! これ、いいですよ! 僕ね、自分の睡眠の質が把握できるようになりました! 絶対いいです!目視できるんですもん! 頭領も買った方がいいです! なぜなら、貴方はイビキも歯ぎしりもひどいので、まずは自分の睡眠がいかに生死のスレスレをさまよっているのかを把握するところから始めないと早死にしますよ! お願いですからスマートウォッチを買ってください!」
ざっくり、そんなことを言われた。
(あくまでも僕の勝手な記憶なので正しい言葉ではないかもしれません)
だが、
彼が真剣に心配してくれていたのは本当だし
僕の心が動いたのも事実だ。
「そうだよなぁ。俺の睡眠は他人様に迷惑をかけてるんだもんなぁ。要らない気もするけどなぁ。左腕に時計を巻かなくなってずいぶん経つから、何かを巻くだけでも違和感があるんだけど。でも、買った方がいいのかなぁ?」
数ヶ月悩んだ12月下旬
僕はシャオミのスマートウォッチを購入した。
時計だ
万歩計だ
心拍数も記してくれる
血中酸素濃度も見られる
ジョギングの距離も計測してくれる
そして
睡眠の質を
「深い眠り」「浅い眠り」「REM睡眠」「覚醒」など
事細かに分析してくれた。
だが……
僕に残ったのは
「果たしてこれが必要なのだろうか?」
という疑問だけだった。
だって
睡眠の質がわかったところで、いったい僕は何をすればいいのだろう?
*
先日
『ふるさと祭り東京』で久しぶりに今井くんに会った。
僕はハッキリ言った。
「これ(スマートウォッチ)、悪くないんだけど、必要性を感じない」
彼はちょっとガッカリした感じで
「そうですか……」
と言った。
せっかく勧めてくれたのに申し訳ないと思ったので、
「これ、使う?」
と、僕は自分のスマートウォッチを見せた。
「えっ! いいんですか?」
彼は目を輝かせて食い付いてきた。
「僕が使ってるスマートウォッチ(同じくシャオミの古いモデル)、ちょうどベルトが切れかかってきてるんですよね!」
「……」
「いいんですか?」
「……いいよ」
「ありがたいです!」
「……うん」
僕はその場で時計を外し、今井くんに渡した。
その後
何ごとも無かったかのように二人はやきとんを食べた。
*
帰り道
一人になって歩いていると……
はっ!
も、もしかして!
こ、これは!
新手の詐欺なんじゃないのかっ!?
必要ない相手に商品を勧めておいて要らなければ自分が引き取る!!
ま、まちがいない!
これは!
「インタビュー詐欺」ならぬ!!
「スマートウォッチ」詐欺じゃね~っか!!!
……考えすぎだろうか?
真実はいかに?
では、また。
追伸
2月11日、やります!