ども、『包丁人味平』が大好きだった岡田達也です。

 

 

 

 

 

私は、我が家の台所を預かっている。

 

父・隆夫さん(87)のお口に合う献立を考え、食材を吟味し、購入し、調理する。

 

それはつまり「財布を預かる」ということでもある。

 

“削れるものは削りたい”

 

そう考えるのは主夫(婦)の偽らざる本音だ。

 

 

ずっと試してみたいことがあった。

 

ずいぶん前から脚光を浴びている「大豆ミート」。

 

こいつを、食卓に上げたら、どうなるのだろう???

 

 

最初に登場したときは

 

僕自身も「なんだそりゃ?」と訝しんだものだが

 

噂では

 

「言われなければわからない」

 

というレベルの商品まで出てきているらしい。

 

よほど製造技術が高まっているんだろう。

 

 

 *

 

 

たまにビーフシチューを作る。

 

作ると言っても「デミグラスソースから」というような手の込んだものではなく

 

市販のルーを使うので大した労力はないのだけど。

 

隆夫さんは

 

「おいしいなぁ」「肉が柔らかいなぁ」

 

などと言って喜んで食べてくれるのでとても重宝している。

 

 

で、

 

それすら作る時間が無いときは

 

イオンで売られているレトルトのビーフシチューを買って出す。

 

 

 

これまた隆夫さんに評判がいいので

 

手抜きだとはわかっていてもちょいちょい頼りにする。

 

 

で、

 

そのとなりにこいつが置いてあった。

 

 

 

値段としてはノーマルなビーフシチューに比べ

 

100円以上安いのだ。

 

 

……100円だぞ、100円?

 

大きくないか?

 

だって10回食べたら1000円だぞ??

 

100回食べたら10000円だぞ???

 

1000回食べたら100000円だぞ???

 

まぁ、隆夫さんがあと1000回食べるほど生きられないとは思うが

 

 

昨日の夜、テストしてみることにした。

 

恐る恐る食卓に並べた。

 

もしも

 

もしも

 

万が一隆夫さんが

 

「これは肉じゃないなぁ」

 

なんて言い出したら

 

僕は土下座して謝罪しよう

 

そう心に決めて。

 

 

 *

 

 

「これはーー」

 

 

きた

 

何を言うんだ???

 

 

「おいしいなぁ」

 

 

隆夫さんは

 

どういうわけか具材だけを全部平らげ

 

シチューだけを皿に残していた。

 

それを指さしながら

 

「これを白いご飯にかけて食べたら美味しいだろうやぁ」

 

「うん」

 

「明日はそうやって食べたいけ、とっておいて」

 

「……わかった」

 

 

 *

 

 

どうやらシチュー自体の味は気に入ってくれたらしい。

 

 

ただ、

 

肝心の大豆ミートに関しては

 

何の手掛かりも得られなかった。

 

ちょっと怖かったので

 

こちらから質問もしなかった。

 

 

はたして

 

バレたのか?

 

バレていないのか??

 

これは第2ラウンド案件としてキープしておこう。

 

 

ま、大豆ミートの存在すら知らないとは思うけど……

 

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

追伸

 

発表になりましたね。

 

僕はこの企画、大好きなんです。

 

がんばれ、畑中、沙羅。