ども、困ったときはクックドゥを頼りにする岡田達也です。

 

 

 

 

少しだけ整理しよう。

 

 

僕の父・隆夫さんは6人きょうだいで

 

長女は鳥取県倉吉市在住の吉恵さん(92 毎晩の晩酌が生きる楽しみ)

 

長男が鳥取県鳥取市在住の隆夫さん(87 たまのパチンコが生きる楽しみ)

 

そして

 

三女に東京都調布市在住の多鶴子さん(82 愛と毒にまみれたマザーテレサ)

 

この3人が『達也汁』に登場する人たちだ。

 

 

吉恵さんは20年ほど前に旦那様を失くし

 

子供もいないので一人で暮らしていたのだが

 

さすがに高齢となり

 

心配した妹・多鶴子さんが

 

お世話をするために東京からやってきて同居を始めた。

 

老々介護の一つの形と言っていい。

 

それが数年前。

 

 

 *

 

 

一昨日

 

多鶴子さんに電話した。

 

この叔母とは定期的に連絡を取るようにしている。

 

 

「あぁ、達也だけど」

 

「ハロー、ハロー」

 

「……あんたはアメリカ人か?」

 

「似たようなもんよ」

 

「……」

 

「たつやっ!」

 

「なに?」

 

「かけ直すわ」

 

「このまま話してもいいよ」

 

「ダメよっ! 私は通話料無料なんだから! あんたは違うでしょ?」

 

「うん、まぁね」

 

「あんたは!」

 

「?」

 

「貧乏なんだから!」

 

「……誰が貧乏だよ?」

 

「あんたよ!」

 

「……」

 

「ま、私も負けてないけどね!」

 

「……」

 

「私がかけ直すわ!」

 

「はいはい」

 

「「はい」は一回でいい!」

 

「……」

 

 

20秒後

 

電話が来た。

 

 

「たつやっ!」

 

「なに?」

 

「私、もうダメかもしれん」

 

「いきなりどうした?」

 

「この間、こけてな」

 

「うん」

 

「足を打っただが。それで痛くて痛くてお医者さんに診てもらってな」

 

「うん」

 

「骨にひびが入ってるかも、って」

 

「ありゃりゃ、それは大変だ。大丈夫?」

 

「だから、ダメかもしれんって」

 

「いやいや、足の骨にひびが入っても死にはしないから安心して」

 

「いや、わからんって! ここから足が腐って、それがどんどん上半身に移ってーー」

 

「……想像力を働かせすぎだろ?」

 

「それで動けなくなって死んじゃうのよ」

 

「どんな死因だよ?」

 

「それからね」

 

「うん」

 

「ちょうど時を同じくしてお姉ちゃん(吉恵さん)も死んじゃうのね」

 

「……あのな」

 

「婆さんが2人、枕を並べて死んでるよの」

 

「……」

 

「その後始末をするのはあんただからね」

 

「……」

 

「あんたが岡田家の跡取りなんだから」

 

「はいはい」

 

「「はい」は一回でいい!」

 

「……」

 

「ってことで、近いうちに、私が死んだら何をどうしてほしいか、書いて送るわ」

 

「うん」

 

「本当のこと言うと」

 

「うん」

 

「お兄ちゃん(隆夫さん)よりは長生きしたいと思ってたけどーー」

 

「うん」

 

「無理かもしれん」

 

「いや、それはまだわからないよ」

 

「いや、憎まれっ子世に憚るって言うでしょ?」

 

「うん」

 

「私、憎まれっ子じゃないもん」

 

「……」

 

「でも、お姉ちゃんとお兄ちゃんは憎まれっ子でしょ?」

 

「……ノーコメントだな」

 

「ってことで、私の骨はあんたが拾ってね」

 

「わかった」

 

「あ、それからーー」

 

「今度は何?」

 

「スイカが食べたいんだけど、どこかで見かけたら送ってくれる?」

 

「……今、12月だぞ?」

 

「あんたの愛情が深ければ見つけられるわ」

 

「……」

 

「メリークリスマス、たつや」

 

 

 *

 

 

みなさんも

 

年末のバタバタ忙しい中で

 

どこかでこけて

 

足の骨にひびが入って

 

全身が腐っていかないよう

 

お気をつけてお過ごしください。

 

 

 

 

では、また。