ども、今シーズン最初の雪かきを済ませた岡田達也です。
キャラメルボックス
2022クリスマスツアー
『クロノス』
神戸公演の初日
生で、
前説を、
アナウンスで(姿は見せないで)
やることになった。
話す内容はほぼ決まっている。
渡された原稿には
「今日のアナウンスは○○年入団の○○です」から始まって、
「携帯電話の電源を切ってください」とか
「有事の際はスタッフが誘導します」とか
「観劇中もマスクを着用してください。マスクを付けていれば遠慮なく笑ってください」とか、
観劇のマナーの基礎の基礎的なことが書かれていて
それを読めばいいだけだの話だ。
だがーー
プロデューサーの仲村和生氏から
「多少、アレンジしてもらってかまいません」
とのお言葉をいただいている。
この「多少、アレンジ」というのがくせ者で、、、
僕の思考回路はこんな道を辿る。
1 ただ原稿を読むだけなら劇団員でなくとも誰でもいい
2 でも、わざわざ劇団員がアナウンスするのなら、そのことが分かった方がお客さんにとってはおもてなしになるだろう
3 とはいえ、前説はあくまでも前説であって、一役者が必要以上に主張すべき場ではない
4 でもでも、ただ真面目にしゃべるだけでは面白味がない
5 だとすれば、その“自分を出すさじ加減”はどのあたりに落としどころがあるのだろう?
……というようなことを考えた。
おそらく、これは、
オファーされた人間全員が、
同じことを考えているはずだ。
う~ん
まぁ、でもなぁ、
あまり難しく考えないで、
「生で前説やってます! そのために鳥取から来ました!」って
元気よく言えばそれで許してもらえるかなぁ
うん!
余計なことは言わないで、その線で行こう!
……と思った。
……思っていた。
ところが、
演劇の世界の片隅で
31年も働かせてもらった血が
徐々に重圧となって圧し掛かってきた。
当日、開演の30分前に劇場に到着し、
仲村くんに挨拶し、
劇場に入ったあたりから、
動機が収まらなくなってきた。
しかも激しいやつ。
今回は出演者とも接触を避けるために、音響ブースでの前説だったのだが、
その部屋に着いたあたりから、喉の渇きが尋常ではなくなり、
「なぜ水を買ってこなかったのだろう?」と激しく自分を罵り、
「これがいつもなら楽屋の水を頂戴するのだけど、今はそれすらできない……」
と、後悔が襲ってきた。
そしてーー
「あぁ、今日はツアー初日だぞ。しかも新神戸オリエンタル劇場(旧名)でのキャラメルボックスの公演だぞ。もちろん出演者のみんなはバクバクしてるだろう。できればそんなみんなの緊張を和らげてあげたいよ。そうしたいとは思うよ。そのために少しでも客席の空気感を和(なご)ませたいけど、、、」
「でも、前説がカミカミだったり、声が震えていたら、「あぁ、こいつ緊張してるんだな?」ってお客さんにバレて、逆に客席の雰囲気が固くなって、袖にいる劇団員たちに「達也さん、なにやってんすか? 相変らず役に立たないなぁ」「なんで俺たちが先輩の前説の失敗を取り戻さなきゃいけないんだよ」ってガッカリされるんじゃないか???」
「あぁ!!!」
「なんで生アナウンスなんて引き受けてしまっただろう? 録音なら何度失敗しても撮り直せるのに」
「今すぐ鳥取に帰ろうか」
……どうですか?
これ、盛ってませんからね
本当に素直な気持ちですよ
役者なんてね
どこまでもネガティブになれるんですよ
ま、それでも本番と同じで
時刻が来たらやるしかなく
身体は震えながら
でも声だけは震わせないように
なんとか務めた。
そんなダメな先輩の前説など関係なく
舞台上のみんなは堂々と演じていたので
何の不安もなく観劇させてもらえた。
後輩たちの方が頼もしいじゃね~か……
*
って、ここまで書いておいてなんだけど
「緊張」ってね
悪いことばかりじゃなくて
それは大事な負荷だから
それなくして人の心を動かすことができないのも本当で。
……ま、この話はまたゆっくりと。
*
次回のキャラメルボックスの公演が発表になりました。
こちらもよろしくお願いします!
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10月に刊行した『クロノス・ジョウンターの黎明』https://t.co/45m7mST4pz(梶尾真治@kajioshinji3223/著)が、演劇集団キャラメルボックスにより、来年5月に「クロノス・ビギンズ」として上演決定!#梶尾真治#クロノス・ジョウンターの黎明#舞台化#クロノスビギンズ
では、また。