ども、未だに「新神戸オリエンタル劇場」と呼んでしまう岡田達也です。
父・隆夫さん(87)は
若いころは健脚だったが
すっかり歳を取り
現在では、5m歩くのも嫌がるほど移動を嫌う。
そんな隆夫さん
15年前くらいまでは
なんと自宅から173㎞離れた新神戸オリエンタル劇場まで足を運び
(現在の『AiiA 2.5 Theater Kobe』)
僕が出演する舞台を何度か観に来てくれたことがある。
それは多分に
“母・秀子さんに無理やり連れて行かれた”
というのが事実だと思うが
それでも
舞台の上の姿を観てもらってるのは嬉しい。
母は観終わると
一緒に食事をしながら
自分の感じたことを、とても控えめにだが、きちんと、ゆっくり丁寧に話してくれた。
僕はその感想を聞くのが好きだった。
一方……
父上から芝居の感想を聞いたことはない。
ま、向こうだって話したくも無かったろうし
こちらも聞く気も無かったのだが
あまり放っておくのも可哀そうかと思い
一度だけ「今日の芝居、どうだった? 意味わかった?」と尋ねてみたことがある。
1999年、『キャンドルは燃えているか』というお芝居のときだった。
*
「わかるわよ~!」
「ホントに?」
「わかったって!」
「……」
「あれだろ?」
「?」
「愛だろ」
「えっ?」
「人間、愛が大事ってことだろ?」
「……」
「それが言いたいんだろ?」
「……」
「それくらいはわかったで!」
「……」
「お父さんだってわかるわよ~!」
*
いい
いいんですよ、父上
ありがとうございます
芝居を観て
どんな感想を抱こうが
それは人それぞれでありますし
『キャンドルは燃えているか』を観て
「愛が大事」だと感じたあなたの感性は素晴らしいと思います
しかし
このときの「人間、愛が大事」という感想は
僕にとってインパクトがありすぎて
これ以降は芝居の感想を訊いたことがない。
そして
岡山で上演した『水平線の歩き方』を観に来てくれたのを最後に
父上は観劇しなくなった。
*
不思議なもので
「人間、愛が大事」と言ったときの
新神戸オリエンタル劇場の上にある中華料理屋での映像が頭から離れない。
周りの景色と一緒に刻まれる記憶って間違いなくある。
*
キャラメルボックス2022クリスマスツアー
『クロノス』
本日、神戸公演初日です。
劇場に足を運んでくださった、たくさんの方の記憶に残るといいなぁ、と願いながら
僕も応援しようと思う。
では、また。
追伸
明日の日記はお休みします。