ども、最近はセブンイレブンの無糖レモンばかり飲んでいる岡田達也です。
昨日のつづき。
その前に……
昨日「武井さんの声は、いかりや長介さんを少し若くして女性に変換した感じで、ややルーズに読んでもらえると、より臨場感が出ます」と書きましたが、
武井さんをよく知る人物から「それよりも大山のぶ代さん」というご意見をいただきました。
確かに、武井さんは見た目も大山のぶ代さんにそっくりなので、今日は先代ドラえもんの声をもっとダミ声にして、ややルーズな感じでお読みください。
それが、ゆうこりんの声です。
* *
武井さんがしみじみと言った。
「あんたさぁ、顔変わったよね」
……顔が変わった?
「そうかな?」
「『クローズ・ユア・アイズ』(2000年)で、あんたと初めて会ったときさぁーー」
「あ、あのときが初めてだったね」
「そうそう。あたしさぁ、キャラメルボックスのこと知らなくてさぁ、紹介されて初めて入った現場じゃない?」
「うん」
「その作品の主役がおっかーだったでしょ?」
「うん」
「こんなまん丸な顔した男を、どうやったらカッコよく見せられるの? ムリ、ムリって諦めそうになったわよ」
「(笑)」
「私の技術をもってしてもダメかもって」
「(笑)」
「里芋みたいな顔しててさぁ」
「それは仕方ないじゃない! もって生まれたもんだから!」
「まん丸のおにぎりに、味付け海苔を貼り付けたような髪型しててさぁ」
「前の美容師さんに失礼すぎるだろ」
「とにかく、あんたの頭蓋骨の形と、髪の毛の質と、生え方とは、とても手がかかるの!」
「それは申し訳ない」
「キャラメルボックスの中でも、あんたの髪の毛を一番たくさん切ってきた私が言うんだから間違いないのよ!」
「おっしゃるとおりです」
「だからね、セオリー通りに切ってはダメな典型なんだよね」
「そうなんだ」
「あんた、くせ毛で無駄に髪の毛が多いからーー」
「無駄にって言うな」
「初めての人は、すきバサミを使いたがるでしょ?」
「うん」
「そうすると里芋の煮っころがしみたいにしかならないの」
「……たしかに」
「だから私が開発したあの技が必要でーー」
(ここから彼女の技術論というか自慢話がしばらく続いたのでそこは割愛します)
「はいはい、そうですね」
「なんだけど」
「あんた、歳を取って顔の形が変わったわ」
「そう? 自分ではわからないな」
「顔が尖った」
「あぁ、年取るとみんなそうなるよね?」
「まぁ、大抵の人は肌に張りが無くなって、肉が下がるからそうなるけど」
「って言うよね」
「あんたの場合、たくさんセリフをしゃべって、頬が締まったんじゃない?」
「そうかな?」
「なんにせよ、いい形に変わってくれたわ」
「そりゃ嬉しいな」
「スタイルが作りやすくなったもんね」
「どうも」
「あと、苦労したのは筒井だなぁ」
「顔の形?」
「ちがう。髪の毛の頑丈さ」
「切りにくいの?」
「切ってるそばからハサミの刃がダメになっていく」
「んな大袈裟な(笑)」
「ホントだって! 筒井の毛を切るたびに、ハサミ研いでもらうもん」
「(笑)」
「あんな剛毛、そうそういない」
「俺みたいに、年取ったら何かが変わるかもよ」
「筒井の毛が細くなるとは思えない」
「そっか(笑)」
*
美容院で希望の髪型をリクエストするのはいつだって大変だ。
だけど、武井さんと知り合ってからはすべて彼女にお任せにしている。
何も注文しなくていい。
というより
彼女の方が役に合ったプランを提案し、実現してくれる。
本当に信頼できるヘアメイクさん。
早く腱板断裂を直し、シャンプーもしてもらえますように。
これだけ付き合いが長いのに、初めて聞いた第一印象。
俺、そんなに丸かったんだなぁ
では、また。