ども、明け方必ず鼻詰まりを起こす岡田達也です。

 

 

 

 

 

僕は、珍しく、怒っていた。

 

 

先日

 

敬老の日の記念品として

 

後期高齢者の方たちに

 

鳥取市から配布されたのが

 

「せんべいの詰め合わせ」だった。

 

 

この「せんべい」は

 

醤油味のしょっぱいヤツではなく

 

小麦粉、卵、砂糖、牛乳で作る、甘いおせんべいのほう。

 

(ピーナツ煎餅ってわかりますか? ああいうやつです)

 

 

いやいや、せんべいに罪はない。

 

とはいえ

 

「ちょっと考えた方がいいのではないか?」

 

そう思った。

 

 

我が家にも

 

後期高齢者である父・隆夫さん(87)がいるので

 

せんべいがひと箱やってきた。

 

隆夫さんが開けた。

 

中を見ると

 

小さめのせんべいが7個入った袋が、フレーバー違いで6袋

 

計42個のせんべい。

 

 

あのですね……

 

せんべいでもいいですよ

 

いいですけど

 

今の世の中

 

高齢者の一人暮らしも増えているんですよ

 

せめて個包装にした物ならわかりますよ

 

でも、

 

フレーバーごとにしか包んでいないから

 

急いで食べないと湿気てしまうし

 

消費期限もわりと早いし

 

ってことはですよ?

 

こんな大量のせんべいをもらっても

 

喜ぶ人の方が少ないんじゃないんですか?

 

もちろん個包装にすればプラゴミが増えるわけですし

 

世界にやさしくないのもわかってますよ

 

だとしたら、もっと違う記念品を考えてもいいんじゃないですか?

 

そりゃね、老舗の煎餅屋さんとは長い付き合いでしょうし

 

一般市民にはわからない部分もあるとは思いますよ

 

思いますけどね

 

実際に町内を配り歩いた人間の感触からすると

 

(今年は私が配りました)

 

鳥取市から配布されたせんべいよりも

 

町内会からの記念品として配った商品券の方が

 

みなさん、わかりやすく喜んでらっしゃいましたよ

 

 

古いお付き合いもわかるけど

 

高齢者にやさしい自治体でありましょうよ

 

それこそが求められてることじゃないんですか?

 

 

よ~し

 

これは言ってやろう

 

声を大にして言ってやろう

 

世直しの一環だよ

 

俺が町内会の役員になったからには

 

悪しき伝統ってやつに戦いを挑んでやろう!

 

 

そう思っていた。

 

 

 *

 

 

4日後

 

隆夫さんが、せんべいの入っていた箱を潰していた。

 

 

……えっ?

 

……ま、まさか?

 

 

「○○屋の煎餅はなぁ、昔から有名だけなぁ。別に美味いとは思わんけどなぁ」


そう言いながら

 

6袋、合計42個のせんべいを完食していた。

 

たったの4日間で。

 

 

 *

 

 

僕の振り上げた拳は行き場を失った。

 

僕は、意見を言うのを、やめた。

 

 

私が間違っていたんでしょうか?

 

 

 

 

 

では、また。