ども、オフコースの『秋の気配』という曲が好きだった岡田達也です。
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昔、キャラメルボックスの基礎練習では
「外郎売り」というテキストがよく使われていた。
一人で喋ったり、二人組だったり、
ユニゾンだったり、交代しながらだったりと、
あれやこれやの課題を出された上でこのテキストを演じるのだけど
キャラメルボックスには上川隆也というスピードスターがいて
この先輩は、
外郎売りを
見事な滑舌で
すばらしいスピードでしゃべっていた。
「なんであんなふうにしゃべれるんだろう?」
疑問に思った僕は、悩むより先にと思い、直接先輩に相談してみた。
先輩も、ダメな後輩に歯痒い思いを抱いていたのかもしれない。
すぐに時間を作ってくれて
旧ネビュラという、
山手通り沿いにあった、
古くてボロボロの、
だけど劇団として初めて持った稽古場の
今にも床が抜けそうな二階で
一緒に稽古してくれることになった。
マンツーマンで
向かい合って
正座になって。
何が嬉しかったって
先輩は胡坐をかいていてもよさそうなものなのに
一緒になって正座して
頭から一緒に外郎売を読み上げてくれるのだ。
何度も、何度も。
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落語の世界には『三遍稽古』という稽古があるそうで。
聞くことろによると
落語のネタを師匠が弟子に教える方法として
基本的には口から 口へ「口伝」で行われていたらしい。
師匠と向かい合って、師匠がやってくれる噺の1回目で噺の筋を覚える。
何日かして2回目、噺の言葉を覚える。
また何日かして3回目、ここで間のとり方や息継ぎなど細かい部分を覚えるーー
というのが三遍稽古。
昔は録音できるような機械もなかったことから
この稽古方法がスタンダードだったそうだ。
ま、僕の場合はたった一回だったから
「三遍稽古」ではなく「一遍稽古」になったけど。
そして
この不出来な弟子は
そのときどんなアドバイスをもらったのか
今となってはさっぱり覚えてないというダメさだが
(先輩、すみません)
その稽古は貴重な財産になったと言える。
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自分が「下手だ」と思ったなら
「上手い」と思う人に相談するのも一つの手だと思う。
もちろん、相談しただけで上手くなるなんてことはないけど
一人で悩んでいるよりは、道が開ける可能性はある。
なにより、
時間が経てば自然に芝居が上手くなるなんてことはない。
絶対にない。
100%ない。
自分が何かをしなければ
自分で何かを変えなければ
芝居なんてどうにもならないのだ。
なんて、えらそうに聞こえたら申し訳ない。
老婆心のアドバイスだと思って受け止めてもらえたら幸いです。
では、また。