ども、久しぶりに髭を蓄えている岡田達也です。
本日より劇場入り。
今日は最初にPCR検査がある。
ここのところ鳥取での感染拡大もかなり深刻な状況で
気をつけて生活してはいるものの
自分が感染していない保証はどこにもない。
ここまで頑張ってきたのに上演できないなんてことになったら泣くに泣けない。
どうか、どうか、陰性でありますように。
*
ここ2年の間に、何十回とPCR検査を受けてきた。
PCR検査に必要なのは、ある程度の量の唾液だ。
がんばって唾を作り出さなければならない。
これが、人によって、恐ろしく時間差ができる。
唾が出ない人ってのはたくさんいる。
いくら頑張ってもどうにもならないらしい。
そういう人たちのために
レモンや梅干の写真が用意してあったりするのだけど
あまり効果がないと聞く。
そんな中
私は恐ろしく早い。
着席して数十秒で、規定量の唾を吐き出すことができる。
どの現場のスタッフさんも目を丸くし
僕より先に座って頑張っていた俳優は振り返って驚愕の視線を向ける。
そのスピードたるや
世界レベルと言っていいかもしれない。
*
若いころ
成井さんによく言われた言葉がある。
「セリフはジューシーにしゃべれ」
……ん?
……ジューシー?
そうれは一体どういう???
「まるで奥歯のあたりに唾が溜まっているかのようにしゃべるんだ」
演出家の要求は絶対だ。
若かりし日の僕は“どうすれば唾が溜まってるようにしゃべれるのか?”を、考え、試みた。
そうして僕は
簡単に唾を生み出せる改造人間となった。
まさか
あの日の教えが
今、こんなに役立ってるなんて。
成井さんのおかげで
僕には、レモンも、梅干しも必要ない。
今日もスタートダッシュをかけて
新記録を打ち立てて来ようと思う。
(……大事なのはそこじゃないぞ)
では、また。