ども、ある意味薬漬けの岡田達也です。
昨日は珍しく夕方から夜にかけての稽古。
休憩中、出演者の一人に質問された。
「どうすれば大きな声が出ますか?」
「普段の発声練習ってどんなことをやればいいんですか?」
そう尋ねてきた彼女は
子供のころから芝居が好きで
だけど現在は演劇部ではなくまったく違う部に所属しているので
発声練習というものをやったことがないらしい。
僕は「まずはここから」という基本中の基本を伝えた。
それを説明しながら
「よくぞまぁ自分なんかが偉そうに伝えられるようになったもんだ」
と、ちょっと笑えてきた。
*
自慢じゃないが
デビューして数年間は
「声が小さい!」
「音量10倍!」
と演出家に言われ続けた男だ。
が、演劇未経験だった僕は
彼女と同じように声の出し方の知識などまったく無くて
オマケに地声も大きくなかったので
ひたすら喉に力を入れて怒鳴るしか方法がなかった。
結果、毎公演のように喉を嗄らし
さらには声帯ポリープを作って(×3回)手術までした。
(おかげで、本番中一言もセリフがない江川卓という当たり役に出会えたので、怪我の功名とも言えるが)
僕は
声を嗄らし続け、声帯ポリープを作ったおかげ(?)で
消炎剤の存在を知り
響声破敵丸を覚え
かなりきつめのステロイドを投入し
針をうち
オムロンの吸入器を購入し
と、
喉嗄れ対策に追われ続ける俳優人生を送った。
つまり“ダメな見本の典型”と言っていい。
でもでも
だからこそ「嗄らさない、響く声が出る、強い喉を手に入れなければ」と努力し続けることができた。
結果
24歳の僕よりも
54歳の僕の方が
嗄らしにくい発声方法がわかるし
当時よりも太い声が出せるようになった。
(と、書いておきながら今現在だって僕の喉は強くなくて、ちょっとでも無理すればすぐに嗄れてしまうけど)
やはり「失敗」という経験はとても大切で
“挑戦してみたけど上手くいかなかった”からこそ
“じゃあどうすべきか?”を考える礎にできるのかな、と思う。
*
今日明日に結果が出るわけじゃないけど
諦めないで続けてくれれば
いつの日か大きな響く声で話せるようになるんじゃないかと思う。
そうそう
現代の若者たちの中には
「間違えない方法論」や「絶対的なマニュアル」が無いと
行動に移さない人が多いと聞く。
今流行りじゃないかもしれないけど
失敗が多い人生だって悪くないと思うぞよ。
では、また。