ども、今回は立候補しなかった岡田達也です。

 

 

 

 

 

7月10日は参議院議員選挙が行われる。

 

が、その日は稽古のため、期日前投票をすることにした。

 

私の事情で申し訳ないが、父・隆夫さん(87)にもそうしてもらった。

 

 

 *

 

 

鳥取市役所の駐車場に車を止めた。

 

期日前投票の会場は

 

市役所の、別棟の、2階の、一番端っこ

 

つまり、駐車場からもっとも遠い位置にあった。

 

 

僕自身は気になる距離でもないが

 

歩くことを放棄している(?)隆夫さんには残念な結果となった。

 

この人の前世はおそらく殿様だったはずなので

 

世が世なら駕籠に乗って移動していただろう。

 

 

「なんちゅう遠いだいな」

 

「仕方ないよ」

 

「老人いじめだな」

 

 

かと言って、僕が負ぶっていくのも無理なので

 

ガマンして歩いてもらった。

 

 

 *

 

 

ようやく会場に辿り着き

 

投票を済ませた隆夫さんは珍しく怒っていた。

 

 

「あれはどういうことだ!」

 

「なに?」

 

「比例代表制の投票用紙!」

 

「ん?」

 

「文字が!」

 

「うん」

 

「文字が小さすぎてサッパリ読めん!」

 

 

たしかに

 

僕だって間もなく読めなくなるだろう

 

 

「この買ってもらったメガネをかけとっても見えんで」

 

「そうだね」

 

「写経が書いてあるみたいだな」

 

「そうだね」

 

「虫眼鏡を借りようかと思ったけどーー」

 

「うん」

 

「やめた!」

 

 

……なんでやめたんだろう?

 

聞いてみれば良かったのに

 

 

「あれはーー」

 

「うん」

 

「入れる気がなくなるな!」

 

「そう」

 

「誰でも良くなるな」

 

「そうか」

 

「老人には投票するなってことだなぁ」

 

 

いやいや

 

気持ちはわかるけどさすがにそうじゃないと思うよ

 

 

「駐車場は遠いし!」

 

 

それはアンラッキーだったね

 

 

「今回の選挙は老人にやさしくない!」

 

 

普段は「老人みたいでイヤだ」が口癖なのに

 

こういうときだけは進んでご自分のことを老人扱いするのですね

 

 

エレベーターに乗ってそんな話をしていたら1階に着いた。

 

隆夫さんは、歩行と、怒りとで、息が切れたらしい。

 

休憩を求めてきた。

 

 

「ちょっとイスに座って休んでええか?」

 

「いいよ」

 

 

目の前にあったのは

 

柔らかい素材のソファではなく

 

恐らく鳥取県内で栽培された杉の木で作られたテーブルとイスだった。

 

 

「これは!」

 

「?」

 

「なんちゅうかたいイスだ!」

 

「(笑)」

 

「老人には座るなってことか!」

 

 

 *

 

 

隆夫さんにとってはいろんな意味で大変な選挙となってしまった。

 

 

さておき

 

文字の大きさに関しては僕だってつらい。

 

この問題は選挙管理委員会さんにお願いすればいいのだろうか?

 

このままだと

 

次回の選挙では

 

貴重な有権者である隆夫さんの一票が無くなる可能性もありますよ。

 

 

 

 

 

では、また。