ども、岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨夜

 

父・隆夫さん(87)の妹である

 

叔母・多鶴子さん(81)から電話があった。

 

 

多鶴子さんは

 

長女である吉恵さん(91)の面倒をみるために

 

2年ほど前から鳥取県倉吉市で吉恵さんと同居している。

 

 

そんな献身的な多鶴子叔母の体内成分は

 

「愛」と「毒」で構成されている。

 

 

 *

 

 

「たつや、ハロー、ハロー!」

 

「……あんたはアメリカ人か?」

 

「どう、元気にしてる?」

 

「うん、元気だよ。何か用事? もしくは何かトラブル?」

 

「ちがうわよ~! 人をトラブルメーカーみたいに言わないでくれる?」

 

「ごめん、ごめん」

 

「失礼しちゃうわ!」

 

「じゃ、なに?」

 

「あんたが公演を終えてこっちに戻ってきてる頃かな~と思ったからかけてみたのよ!」

 

「あ、うん。無事に帰ってきましたよ」

 

「そう。ところでお兄ちゃん(隆夫さん)、元気?」

 

「うん、残念ながら」

 

「そりゃ残念ね」

 

「(笑)。ただ、今は腰痛がひどいみたいだけど」

 

「天罰よ」

 

「?」

 

「今まで周囲の人に迷惑をかけてきた分の」

 

「あぁ、なるほどね」

 

「ま、私たちがお兄ちゃんからもらった痛みに比べれば腰痛ごときでは全然足りないけど」

 

「(笑)」

 

「たつやっ!」

 

「なに?」

 

「笑ってる場合じゃないわよ!」

 

「え?」

 

「あんた、お兄ちゃんに対する愛情が足りないんじゃない?」

 

「……どういうこと?」

 

「食事を普通に作ってるでしょ?」

 

「まぁ、そうね」

 

「お兄ちゃん、アホほど食べてるでしょ?」

 

「そうね」

 

「美味しく作ってどうするのよ!」

 

「?」

 

「塩が足りないのよ、塩がっ!」

 

「?」

 

「もっと料理に塩をドバドバ入れてあげなさいよ!」

 

「えっ?」

 

「水戸泉(※1)みたいに!」

 

「……」

 

「そしたらあっという間に血圧が上がるから!」

 

「もう十分高いみたいだだけど」

 

「もっとよ、もっと! 血圧が高い今、ダメ押ししないでどうするのよ?」

 

「(笑)」

 

「私の焼き鮭(※2)くらい塩を使って!」

 

「(爆笑)」

 

「どんな料理にも!」

 

「(笑)」

 

「それが愛情ってもんよ!」

 

「愛情って塩の量だったんだ?」

 

「そうよ!」

 

「覚えておくわ(笑)」

 

「腰痛では死なないけど、血圧が上がればチャンスはあるからね」

 

「チャンスって、言い方!(笑)」

 

「だいたいね!」

 

「?」

 

「お姉ちゃん(吉恵さん)も、お兄ちゃんも長生きしすぎ!」

 

「(笑)」

 

「私の方が先に逝っちゃいそうだわ!」

 

「まぁ、そう言わずに長生きしてくださいよ」

 

「あんた、気付いてないわね?」

 

「何を?」

 

「お兄ちゃんはあんたの寿命を吸って、お姉ちゃんは私の寿命を吸って長生きしてるのよ」

 

「(笑)」

 

「私たちは2人に命を吸い取られているのよっ!」

 

「そうかもね(笑)」

 

 

 *

 

 

※1 水戸泉関

 

天井めがけて山盛りの塩を巻く派手な仕草で人気があり、ソルトシェーカーと言われた。(Wikipediaより)

 

 

※2 多鶴子さんの焼き鮭

 

「塩が効いてない焼き鮭はありえない」が口癖の人なので、この人が焼く鮭はとにかく塩っ辛い。塩辛い鮭が好きな僕でさえ、人生でこれ以上辛い鮭を食べたことがないほどすごい。血圧を気にしている人が絶対に口にしてはいけないレベル。

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

追伸

 

お仕事のため今夜の寝台特急で東京に向かいます。

 

滞在時間わずか15時間という弾丸ツアーです。

 

「つづく」って書いておいて申し訳ないのですが、パソコンは持って行かないので、明日明後日の日記は、とても短いか、あるいはお休みさせていただく可能性があります。

 

全国の多鶴子さんファンのみなさん、ごめんなさい。