ども、筒井俊作くんに勧められて今さら『進撃の巨人』を見始めた岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日

 

父・隆夫さん(87)が言った。

 

「もうすぐあれが無くなるなぁ」

 

 

……もしもし?

 

私たちの関係は、長年連れ添った夫婦じゃないですよね?

 

「あれ」じゃわかんねっす

 

 

「なに?」

 

「あれだが、あれ!」

 

 

もう一度言いますよ

 

「あれ」を繰り返したところでわかるわけがないっす

 

そんな離れ業ができるのは、波平さんとフネさんくらいの信頼関係を築いた夫婦だけですよ

 

つまり、この時点でわかるのは母・秀子さんだけでしょう

 

 

「なに?」

 

「腰に塗るやつ」

 

「あぁ、バンテリン液ね」

 

 

 *

 

 

僕が鳥取に戻ってきてから

 

隆夫さん(87)の腰の調子がよろしくない。

 

(物干し台が倒れてきたこととは関係ありませんのでご安心ください)

 

 

去年、自転車で転んだのが原因で

 

それ以来、良くなったり悪くなったりを繰り返している。

 

 

つまり、恥ずかしながら二人とも腰痛で苦しんでいるのだ。

 

なんなら「腰痛親子」と呼んでもらってかまわない。

 

 

 *

 

 

「あ、新しいやつがあるよ。東京で買って使っていたのを持って帰ったから」

 

「おおっ、助かった!」

 

「痛みが強いようならお医者さん行く?」

 

「う~ん、前に行ったときも、良くはならんかったけなぁ」

 

「そうね、こういう痛みは根本的な治療がむずかしいからね」

 

「あれかな? 塗り薬より湿布のほうがええかな?」

 

「あ、そうかもね。少なくとも湿布はずっと貼ってるわけだし」

 

 

僕は普通の湿布は使わないが、ロキソニンテープや、ロコアテープにはよくお世話になっている。

 

この違いを父に説明するのは難しいので省くとして、ロキソニンテープを買ってきて「湿布だよ」と言って貼るのはありだろう。

 

ひょっとすると、痛みが軽減するかもしれない。

 

 

「湿布、買いに行こうか?」

 

「おおっ、行こう」

 

「買ってくるけど?」

 

「いや、ちょっと欲しいものがあるけなぁ、一緒に行くわ」

 

「何を買うの?」

 

「神棚のお供えがなくなったけなぁ。新しいのを買わないけん」

 

 

僕は

 

「……神棚のお供えはなくなったんじゃなくて、自分が食べたんだよね? いつも、自分の好きなお菓子を買ってきてそれを備えてるんだから、それはもはや「お供え」ではなくて「おやつ置き場」と言い替えても良いんじゃないのか?」

 

という言葉を飲み込んで

 

「そうね」

 

と一言だけ応えた。

 

 

こうして

 

腰痛親子が、久しぶりに一緒に買い物に行くことになった。

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

追伸

 

明日の日記はお休みさせていただきます。

 

すみませんが明後日をお待ちください。