ども、後輩に気を使われた岡田達也です。

 

 

 

 

 

数日前

 

稽古場で冷蔵庫を開けようとした。

 

すぐそばにいた制作スタッフさんに声をかけられた。

 

「冷蔵庫の中に冷たい飲み物が入ってますので、よろしかったら飲んでくださいね」

 

「ありがとうございます」

 

「実は、先ほど筒井俊作さんが差し入れにいらしてーー」

 

「えっ? 筒井が来てたんですかっ?」

 

「そうなんです。みなさまへということで頂きました」

 

 

なんという気遣い。

 

なんという太っ腹。

 

自分の劇団の公演ならいざしらず

 

プロデュース公演にも差し入れしてくれるなんて。

 

「次回は俺も出させてください」という意思表示なんだろうか?

 

 

冷蔵庫を開けた。

 

 

 

この他にもペットボトルの飲み物がたくさん並んでいた。

 

これらを購入して持ってくるだけでもさぞかし重かったろうに。

 

なんていいやつなんだ。

 

 

「で、ですね」

 

「はい」

 

「岡田さんにはそれとは別に差し入れがあります」

 

「?」

 

「その下段を見てください」

 

 

 

 

おや?

 

おやおや?

 

おやおやおや?

 

 

僕は金色の缶を手にしてみた。

 

 

 

 

……名前が書いてあった。

 

 

「筒井さんが書いてかいかれました」

 

「……でしょうね」

 

「稽古場で飲まないように、とも」

 

「……飲みませんよ」

 

 

 *

 

 

その日に飲んでも良かったのだけど

 

なんだか勿体なくてまだ手を付けていない。

 

 

このビールを、しばらくの間、御守り代わりにして

 

冷蔵庫に眠らせておこうかと思っている。

 

 

持つべきものはできた後輩である。

 

筒井、ありがとうね!

 

 

 

 

 

では、また。