ども、本日も雪かきしなければの岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日のつづき。

 

 

 *

 

 

僕は、普段はとても能天気な人間だけど

 

こと芝居に関して言えばへっぴり腰で、ネガティブな思考の持ち主だ。

 

 

そんな人間なので

 

新作を作っているときなど“懐疑心の塊”みたいになってしまい

 

「これ、本当に面白いのか?」

 

「これ、大丈夫なのだろうか?」

 

と、疑ってばかりの時間を過ごすことになる。

 

 

『水平線の歩き方』のときもそうだった。

 

キャラメルボックスでは珍しい「母と息子の物語」だし

 

展開もスピード感があるし

 

少ない登場人物だけど、どのキャラクターも魅力的だし

 

面白い脚本だなぁ

 

……と思いながらも

 

いざ立体的に面白い芝居に作り上げるとなると

 

それはまた別の話だしなぁ、と考えていた。

 

だから、ほふく前進のような稽古は相変わらず続いていた。

 

 

 *

 

 

明日が初めての通し稽古という日。

 

僕は、ある不安を抱えていた。

 

 

この劇中

 

僕は開演から終演まで出ずっぱりで

 

すべての登場人物と会話しているので

 

劇中の約半分のセリフをしゃべっていると言っていい。

 

“その、自分の芝居が、遅いんじゃないか?”

 

……という不安。

 

 

僕以外の登場人物たち全員が

 

こちらに向かって球(セリフ)を投げてくるのだけど

 

それを丁寧に受け取って、丁寧に投げ返してる感覚が、僕自身にあった。

 

それは、けっして悪いことじゃないと思う。

 

なんでもかんでも反射的にセリフをラリーしている芝居なんて面白くないし。

 

 

ただしーー

 

キャラメルボックスの台本は

 

演劇界ではとても珍しいB5サイズで印刷されており

 

(ほとんどがA4なのです)

 

上演時間の目安として「1ページ、1分」という不文律があった。

 

つまり、脚本が120ページなら120分

 

90ページなら90分、という具合に。

 

 

『水平線の歩き方』が何ページだったか覚えていないけど、

 

おそらく62~65ページくらいだったと思う。

 

ってことは、

 

「キャラメルボックス上演の法則」に則って考えるなら

 

62~65分の間で上演されなければならない。

 

 

「今、65分より長い気がする……」

 

たくさんしゃべっている自分にその自覚があるのだ。

 

「明日の通し稽古で、どえらい時間がかかったら、成井さん怒るだろうな……」

 

 

不安に思った僕は、その日の稽古後、みんなにお願いをしてみた。

 

「明日の通し稽古に供えて、今から一度通してもらえないだろうか?」

 

 

無茶なお願いだということは重々承知していたけど

 

みんなが二つ返事で協力してくれることになった。


稽古時間外なのに

 

なんというありがたさ

 

ちなみに

 

その日の稽古は成井さんではなく、演出助手の子が演出していたので、こんな無茶ができた

のだけど

 

 

で。

 

通した後

 

演出助手の子に尋ねた。

 

「上演時間は?」

 

「74分です」

 

 

僕には、それが、死刑宣告に聞こえた。

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

追伸

 

お誕生日を祝ってもらうことになりました!

 

2月12日 20時~ 『東京砂漠』やります!

 

よろしければ遊びにいらしてください!