ども、この季節だけかまぼこの値段が高騰するのが許せない岡田達也です。

 

 

 

 

 

以前にも書いた話だけど……

 

 

毎年、年末は母・秀子さんと2人で、おせちを作るのが恒例行事だった。

 

で、そのついでに出汁を大量に作っておいて

 

それを元旦からのお雑煮や茶わん蒸しなどの料理に使っていた。

 

 

昆布と鰹節でとる、実にシンプルな出汁なんだけど

 

だからこそ誤魔化しがきかないし

 

秀子さんは出来が気に入らないと作り直すほどの力の入れようだった。

 

 

僕はこの出汁でつくる雑煮が大好きで

 

子供の頃から父・隆夫さん(86)と競うようにして食べていた。

 

 

2017年11月に母が他界し、一緒におせちを作ることは無くなった。

 

それはちょっぴり淋しいけど

 

せめて雑煮だけでもいつものやつが食べたくて、年末に出汁をとっておこうと考えた。

 

 

 *

 

 

「おとうさん」

 

「なんだ?」

 

「お雑煮、食べるよね?」

 

「食べるで! 食べないけん! がんばって食べないけん!」

 

 

秀子さんが亡くなったことへの悲しみを

 

食事が喉を通らないことで表現しようとしてるらしいのだが

 

母が亡くなってから食が1ミリも細くなってないので、がんばる必要はこれっぽっちも無い。

 

 

「いや、がんばる必要はーー」

 

「頑張って食べないけん!」

 

「……」

 

「頑張ってなぁ! 食べないけん!」

 

「……うん。で、いつものやつでいいよね?」

 

「いやーー」

 

「?」

 

 

ここで、

 

信じられない、

 

爆弾発言が、

 

飛び出す。

 

 

「お父さんなぁーー」

 

「なに?」

 

「ヒガシマルのうどんスープが好きでなぁ」

 

「うん」

 

「あれでええで」

 

「……はぁ?」

 

「いつもの出汁より、ヒガシマルの方が好きだけなぁ。あれで雑煮作ってくれりゃええで」

 

 

 *

 

 

おおおおおおぉぉぉぉぉいいいいいい!!!!!

 

おおおおおおぉぉぉぉぉいいいいいい!!!!!

 

おおおおおおぉぉぉぉぉいいいいいい!!!!!

 

 

ヒガシマル???

 

ヒガシマルかよっ???

 

いやいや、たしかにヒガシマルはおいしいよ!!!

 

 

そうじゃなくて!

 

問題はそこじゃなくて!

 

俺が日本一うまいと思って食べていた雑煮をっ!!

 

今までずっと「この出汁よりヒガシマルの方が好きなんだけどなぁ~」とか思いながら食ってたのかよ???


 

もしもし?

 

もしもしもしもし??

 

もしもしもしもしもしもしもしもしもしもしもしもし???

 

あの出汁の取り方と、雑煮の作り方はっ!!

 

あなたの母親である愛子さんから教わったものでっ!!

 

つまり、子供の頃から馴染んできた味じゃないのかよっ!!!

 

いつ、ヒガシマルに心変わりしたんだよっ!!!

 

 

 *

 

 

みたいなことがあって

 

今年もヒガシマルで雑煮を作ったのだけど

 

実に満足そうに食べていた。

 

 

 

おかあさん

 

大丈夫です

 

隆夫さんが亡くなっても

 

あなたの側に行くことはないでしょう

 

存分に、あの雑煮を食べてくださいね。

 

 

 * * *

 

 

 

雑煮って

 

餅が丸でも、四角でも

 

焼いても、炊いても

 

出汁でも、味噌でも、美味しいですよね。

 

 

ちなみに鳥取の雑煮って

 

ぜんざいが主流なんですよ。

 

僕はまったく食べませんが。

 

 

 

 

 

では、また。