ども、米をガマンしている岡田達也です。

 

 

 

 

 

父・隆夫さん(86)は白米が大好きだ。

 

 

 *

 

 

よく、雑誌やテレビなどで「白米に一番合うおかず」なんて特集が組まれているのを見て

 

確かにどれもこれも「おいしそう!」「食べてみたい!」とは思うのだけど


やはり「どれか一つ」と言われれば

 

焼き肉(あるいは焼き肉のたれ)が総合優勝するのではないかと信じている。

 

(あくまでも僕個人の意見です)

 

 

 *

 

 

近所のイオンで、30%オフの、実に美味しそうな、見事なさしが入った牛肉に出会った。

 

30%オフとはいえ、そこそこ立派な値段がする。

 

3秒、悩んだ。

 

結果、購入した。

 

 

好き嫌いの激しい父・隆夫さん(86)に提供するメニューの中で

 

焼き肉は、間違いない、鉄板な存在なのだ。

 

 

 *

 

 

割り引きシールを見せないように、僕は立派なお肉だけ見せた。

 

 

「おおっ! ええ肉だなぁ!」

 

「毎日は無理だけど。たまには、ね」

 

「毎日はいらんわい! いくら生活費があっても足りんがな!」

 

「何切れ食べられそう?」

 

「4切れで十分だなぁ!」

 

「了解いたしました」

 

 

僕は、父のことを、熟知している。

 

6切れ、焼いて提供してみた。

 

 

「グフェフェフェフェ! 口の中で溶けるってほどではないけど、えぇ肉だなぁ!」

 

「……」

 

「口の中で溶けるってほどではないけどなぁ!」

 

「……」

 

「溶けるってほどではないけど、柔らかいで!」

 

「……(溶けないとダメなのかよ?)」

 

 

とーー

 

 

「米が進むなぁ!」

 

「よかったね(そう思って買ったんだよ)」

 

「お代わりもらおうかな!」

 

「どうぞ、どうぞ、好きなだけ」

 

「入れてくるけなぁ!」

 

 

隆夫さんは台所へ向かった。

 

我が家では、お代わりは、自分で食べたい分だけよそうルールだ。

 

 

「あのなぁ!」

 

「ん?」

 

「ジャーが空になったけどええかえ?」

 

「ええっ!!!」

 

「あ、達ちゃんも食べたかったか?」

 

「い、いや、そうじゃないけど……」

 

 

米は、1合、炊いた。

 

1合って、炊きあがりで約350gある。

 

レンジでチンするご飯が、だいたい180~200gで売られていることを考えると

 

普通のお茶碗に2杯分弱という計算になる。

 

いやーー

 

見方を変えれば

 

どでかい丼に1杯ぶんある。

 

 

 *

 

 

「肉がやわらかいけなぁ!」

 

「……」

 

「米が進むなぁ!」

 

「……」

 

「口の中で溶けるってほどではないけどなぁ!」

 

「……」

 

 

 *

 

 

いくら焼き肉と白米が鉄板とは言え

 

86歳で1合食べる男。

 

 

僕がその年齢になってそれだけ食べられるのだろうか?

 

我が父ながら恐ろしい男だ。

 

 

 

 

 

では、また。