ども、現状維持にしがみついている岡田達也です。
自動車保険の更新の時期がやってきた。
担当してくださっている保険会社の方と待ち合わせしていた。
若く、ハンサムで、驚くほど小顔で、社会人サッカーチームに所属し活動しているという、
どこからどう見ても好青年なNさんと久しぶりにお会いした。
(ひょっとすると「ハンサム」という言葉はもう死語ですか?)
*
お若い方には笑われるかもしれないけど……
ここのところ、F1並のスピードで、老眼が加速している。
いや、
今だって視力は良いのだ。
おそらく両目とも1,5程度はある。
いつだって目に映る景色は手に取るように見えているし
そのうち世界を征服することは間違いないと思ってるけど
(……眼よりも先に脳を検査してもらったほうがいいんじゃないのか?)
それなのに
それなのにーー
手元の文字と、細かい文字と、暗いところで見る文字が見えない。
どうやったって見えない。
*
書類を見せられた。
「ここにサインすればいんですね?」
「はい、おねがいします!」
「あの~」
「なんでしょう?」
「Nさんに言うことでもないんですがーー」
「はい」
「なんでこんなに文字が小さいんですかね?(笑)」
「えっ?」
「いやいや、老眼が進んでいる僕の問題であるのはわかってるんですけどーー」
「はい」
「世の中の、大切な書類の文字の大きさが、なんでこんなに小さく、中年や老人に不親切なんだろうと、最近、富に思うようになってきました」
「はぁ」
「いや、ただの愚痴です。忘れてください」
「あの~、岡田さん」
「はい?」
「今、かけているメガネは老眼鏡ですか?」
「……リーディンググラスと呼んでください」
「あ、はい。その、リーディンググラスは度数はおいくつですか?」
「1,0ですけど」
「それで見えますか?」
「ええ、十分に見えてます」
「僕が言うのもなんですがーー」
「何でしょう?」
「もしかするとやせ我慢されてませんか?」
「え?」
「老眼鏡はーー」
「リーディンググラスね」
「あ、失礼いたしました。リーディンググラスはですねーー」
「えぇ」
「老眼の進行に合わせて、すぐに度数を上げていった方が良いと聞いたことがありまして」
「はぁ」
「あまりむやみに抗っていると、見えにくくなると聞いたことがあります」
「……」
「……」
「言われてみれば」
「はい」
「そろそろ1,5にしても良いのかもしれませんけど」
「はい」
「なんとなくですが……。度数を上げると、どんどん悪くなりそうな気がしてるのは確かです」
「逆だそうです」
「抗っちゃダメなんですか?」
「と、聞きました」
「……」
「……」
「Nさん」
「はい?」
「僕の老眼問題はこちらで対処しますのでーー」
「はい」
「文字の大きさについてはそちらで御一考いただけますでしょうか?」
「そうですね。会社に伝えておきます(笑)」
* *
若くハンサムなNさんが教えてくれたことは本当なんだろうか?
今までメガネのお世話になったことがないから
なんとなく眼を甘やかすと悪くなるような気がしていたのは確かで。
それが真逆だなんてにわかには信じられないけど……
何が正解なのか?
ご存じの方、いらっしゃいます?
では、また。