ども、最後まで耐え抜いた岡田達也です。
先日の日記で、
注射の中でもっとも苦手なのが
「歯茎に打つ麻酔だ」と書いた。
そんなこと書くんじゃなかったよ
言霊ってあるんだよな……
*
昨年
人生で2本目の虫歯(左下の一番奥)を治療したのだけど
その場所が悪かったようで
何度詰め物をしても、ことあるごとにその詰め物が外れてしまっていた。
結局、歯医者さんと相談し
健康な部分も少し削って
白いセラミックの被せ物で固定してしまおう、ということになった。
腐っても俳優である。
さすがに銀歯というわけにもいかない。
保険適応外になるのは手痛い出費だが
そこは
パチンコで取り返すなり
宝くじを当てるなり
何とかしようと思っている。
(……働いて稼ぐという選択肢は無いのか?)
そしてーー
昨日が新しい歯を取り付ける日だった。
*
「どうですか? 借りの詰め物で染みたりはしませんでしたか?」
「はい、大丈夫でした」
「そうですか。でね、岡田さんーー」
「はい」
「今日は新しい歯を載せますが、神経の部分に、風をかけたり、薬を塗ったり、水をかけたりするんですよ」
もう、
この時点で、
イヤな予感がビンビンしていた。
「……はぁ」
「麻酔、打ちましょうか」
「えっ!?」
僕の「えっ」は
自分が思っていたより
ずいぶん大きな声で表に出てしまった気がする。
先生は、もう一度、含めるように言った。
「麻酔です」
“病院に連れてこられたワンちゃんが注射がイヤすぎて泣き叫ぶ”
なんて動画を何度も見たことあるが
今、僕も、彼らとまったく同じ気持だ。
僕はかろうじて人間なので(?)
表向きは、泣いたり叫んだりしてないけど
心の中は荒れ狂った日本海のようになっていた。
すでに号泣と言っていい。
「……麻酔ですか?」
「はい」
「やっぱり染みますかね?」
「多少は」
僕は、賭けに出た。
「でも、自力でそこを乗り越えられるなら、麻酔を打たなくても良いですよね?」
「それはもちろんそうですがーー」
「じゃ、先生、こうしませんか?」
「?」
「行けるところまで自力で頑張ってみます!」
「……」
「もうダメだと思ったら申告します!」
「その時点で麻酔を打つ、ということですか?」
「はいっ!」
自分で言うのもなんだがーー
そのときの僕の瞳は、星飛雄馬くらいのサイズになっていたと思う。
目力で、何かを、表現していた。
先生は数秒考えて言った。
「わかりました。じゃ、そうしましょう」
*
結果から言おう。
僕は、耐えた。
最後まで耐え抜いた。
奥歯の神経にかかる風は
僕の脳天を突き刺し
歯に塗られた薬は
僕の体をビクビクと硬直させ
そのたびに
「染みますね、痛いですね、ごめんなさいね」
と、先生のせいではないのに謝ってくれて
とにかく
大迷惑な患者ではあったが
麻酔無しで新しい歯が装着された。
先生の言うことを聞いて
素直に麻酔さえ打っていれば
こんな事態にならなかったのに
……先生、ごめんなさい
*
ほらね?
言霊ってあるんですよ
あんまり「イヤだ」とか「嫌いだ」って口にしてると
必ずしっぺ返しが来るんですよ
僕みたいになりたくなかったら
キライいなものの話をするんじゃなくて
好きなものの話をしましょ
何か良いことが起こるかもしれませんよ
では、また。
追伸
森下くんは「ア・ラ・ポテトが好きだ、好きだ」って言い続けたから
こんな幸せなことになったんですよ
やっぱり言霊ですって