ども、なんとか更新できた岡田達也です。

 

 

 

 

 

父・隆夫さんは

「ちょっと、夢の国まで行ってくるわ!」

という捨て台詞を残して、夢の国に旅立った。

 

 

……夢の国???

 

 

 *

 

 

昔々

僕がキャラメルボックスに入団したての頃

劇団で粗大ごみが溜まると、新人の僕がごみ処理担当となって

 

江東区にある「夢の島」というゴミ処理場まで2tトラックを運転し、

ゴミを捨てに行っていたことが何度もあるがーー

 

「夢の島」と「夢の国」

 

響きは似てるけど違う場所だろうなぁ

 

 

……なぁ、みんな?

 

……「夢の国」ってどこにあるんだ?

 

……教えてくれよ

 

 

 *

 

 

そういえば

『東京ディズニーランド』のことを「夢の国」と呼ぶんじゃなかったけ?

 

残念ながらディズニーランドは園内では酒が飲めないので

「僕には一生関係ない場所だ」と判断して以来、かれこれ30年ほど行ってない。

 

だから詳しくは知らないけど

確かあそこは「夢の国」って呼ばれていたような気がする。

 

でもなぁ

隆夫さんとディズニーランドねぇ

相性悪いだろうなぁ

 

だって

50mも歩けない(歩こうとしない)人が

あんな広大な遊園地に行っても楽しめると思えないんだよな

 

 

……なぁ、みんな?

 

……「夢の国」ってどこにあるんだ?

 

……教えてくれよ

 

 

 *

 

 

待合室で待つこと1時間。

僕は看護師さんに呼ばれ、執刀してくださった先生と面会した。

 

「手術は成功しました」

 

「ありがとうございます」

 

「やはり、腸閉塞でした」

 

「そうですか」

 

先生はホワイトボードに再び図を描いてくださった。

 

「ここの部分がですねーー」

 

先生には絵心がある。

 

なるほど……

お医者さんには「図を描いて説明できる」という能力も必要なのか

だとすれば、僕は一生、医者にはなれないな

 

いや、

画力の前に、基本的な学力が足りなさすぎるだろ……

 

「手術は成功しましたし、問題は無いと思います」

 

「はい」

 

「ですがーー」

 

「なんでしょう?」

 

「何分、ご高齢ですし」

 

「それは重々承知しております」

 

「あと、ワーファリンを服用してらっしゃいますから」

 

「出血の可能性が高い?」

 

「その通りです。ですから、完全に安心できるというわけではありません」

 

「はい」

 

「ただですね」

 

「はい」

 

「大変申し訳ないのですが。このようなご時世ですので、ご家族の方も面会は遠慮していただいているんです」

 

「それはもちろん了解しています」

 

「なので、何かありましたらこちらから連絡させていただきますので」

 

「よろしくお願いします」

 

そこへ、看護師さんがやってきた。

 

「先ほど意識が戻られて、「息子に大丈夫だと伝えてくれ!」とご伝言を預かりましたよ(笑)」

 

 

は、はやいな……

 

もう全身麻酔から覚めたのかよ

 

夢の国って、思ってたより近いのかもしれないなぁ

 

僕は看護師さんと先生にお礼を述べて、病院を後にした。

 

 

面会は禁止

ってことは、メールでのやり取りしか連絡手段はないな……

 

 

 

 

 

つづく