ども、王将の酢豚も好きな岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日

 

稽古終わりにスーパーに立ち寄った。

 

 

間もなく22時になろうかという時間だ。

 

ここで食べるのをガマンできれば

 

体のためには言うことないのだけど

 

“己を甘やかすこと”を特技としている私なので

 

何の迷いもなく総菜コーナーに向かった。

 

 

時間が時間なので残っている商品も少なかったけど

 

その中でこれを見つけた。

 

 

おっ

 

酢豚か……

 

 

僕はカゴに入れた。

 

 

 * * *

 

 

中学生くらいのときだった。

 

ある日

 

母・秀子さんが

 

当時勤務していた病院の同僚の方に

 

酢豚の作り方を教えてもらったらしく

 

夕食に作って出してくれた。

 

それは

 

我が家では初めてのメニューだった。

 

 

その、

 

酢豚の、

 

まぁ美味しかったこと!

 

 

記憶の中で多少上乗せされているかもしれないけど

 

それでも

 

驚くほど美味しく感じたのは本当だ。

 

その証拠に

 

僕はその場で

 

「また作って!」

 

というリクエストをすぐに出した。

 

 

それから酢豚は我が家の定版メニューとなり

 

秀子さんが夜勤の日などは

 

出勤する前に

 

豚のから揚げを作り

 

ニンジンや玉ねぎなの野菜の下ごしらえと

 

味の決め手になる餡を作って

 

「あとは食べる直前にフライパンで絡めなさい。最後に水溶き片栗粉を入れてね」

 

と言い残して出かけて行った。

 

 

それほど、僕は好きだったのだ。

 

 

 *

 

 

僕は高校を卒業し、家を出た。

 

年に1回は帰省していたけど

 

それはたいてい正月だったりしたので

 

おせち料理を作って食べることが多く

 

酢豚のことはすっかり忘れていた。

 

 

それからずいぶん時間が経った。

 

 

帰省中

 

突然、酢豚のことを思い出した。

 

僕は母に言った。

 

「久しぶりに“あの酢豚”を作ってほしい」と。

 

 

秀子さんは言った。

 

「あぁ! 前によく作ってたね!」

 

そしてーー

 

手を顔の前で左右に振りながら驚きの発言を繰り出した。

 

「むりむり!」

 

 

ガーンっ!!!

 

母上っ!!!

 

なんでですか???

 

確かに10年以上前の話ですけど

 

あんなに作ってくれてたじゃないですか???


 

「だって! 作り方覚えてないもの! 全部忘れちゃった!(笑)」

 

ガーンっ!!!

 

母上っ!!!

 

なに爆笑しながら「全部忘れちゃった」なんて言ってるんですか???

 

せっかく獲得したレパートリーですよ!!!

 

取り戻しましょうよ!!!

 

 

「人は忘れるわよ! だって、あなた今までに覚えたセリフって全部言えるの?」

 

 

……

 

……

 

む、

 

む、

 

無理っす

 

 

 * * *

 

 

今でも思う。

 

家を出たあと

 

なんでもっと早くに酢豚をリクエストしなかったんだろうと。

 

そうしたら

 

ずっと作ってもらえた可能性があったかもしれないのに。

 

それがただただ悔やまれる。

 

 

それにしてもーー

 

おかあさん

 

今まで覚えたセリフ全部と

 

覚えた料理ってのは

 

並列で語るものではない気がするんですけどね……

 

 

やっぱり料理も忘れてしまうものなんでしょうか?

 

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

追伸

 

本日21時より

 

小林春世を応援する『東京砂漠』をやります。

 

ギリギリまでお申し込み可能だそうです。

 

よろしければ是非!