ども、反射だけで生きている岡田達也です。

 

 

 

 

 

劇団の後輩・渡邊安理の

 

だんな様となった

 

なだぎ武さんとは

 

舞台で2度共演している。

 

 

 *

 

 

初めて会ったのは

 

2016年

 

俳優座劇場で上演された

 

『大きな木の下で』という作品の顔合わせのときだった。

 

 

 

そのときの僕にとって

 

なだぎさんと言えば

 

“日本でも有数のピン芸人”という認識で

 

実際、R-1のチャンピオンになったことがそれを証明しているし。

 

 

だけどーー

 

その頃のなだぎさんは

 

あちこちの舞台に出演し始めていて

 

演劇界隈でその名前を目にするようになっていた。

 

 

だから

 

「あれ? なんでこの人、テレビだけじゃなくてこんな小劇場に出てるんだろう?」

 

と、ちょっとした疑問を感じていたときだった。

 

 

 *

 

 

顔合わせの席で

 

なだぎさんは僕の左隣。

 

もちろん初対面だったので

 

お互い軽く頭を下げる程度で着席し

 

自己紹介の時間となった。

 

 

出演者のメインどころは若者たちが多かったので

 

ほとんどの子が

 

「一生懸命がんばります!」

 

という真面目な挨拶が続いてる中で

 

なだぎさんの番が来た。

 

 

なだぎさんは立ち上がり、こう言った。

 

「どうも。斎藤工です」

 

挨拶代わりのジャブである。

 

 

瞬間

 

考える間もなく僕はツッコんでいた。

 

いや、

 

ツッコんでしまっていた。

 

「ちげ~よ! 誰が斎藤工だよ!」

 

 

その直後

 

笑いが起こって場は和んだけど

 

僕自身は”あ、やっちまった”と後悔していた。

 

 

条件反射というか体質というか

 

とにかく身体が反応してしまったものの

 

よく考えてみれば

 

相手はR-1チャンピオンであって

 

素人の僕が

 

初対面にもかかわらず

 

ツッコミを入れるなんておこがましい

 

という反省である。

 

 

ところがーー

 

 

「えっ? 私、斎藤工じゃない?」

 

驚いたことに

 

なだぎさんは僕の方を振り向き

 

とぼけた顔で被せてきた。

 

 

僕は考える間もなく二の矢が出ていた。

 

「あんたの名前は、な、だ、ぎ! ここ(台本)に「なだぎ武」って書いてあるよね! いつから「斎藤工」になったんだ? 鏡を見て確かめるか?」

 

 

あ~

 

まただ

 

またやっちまった

 

 

目の前でわかりやすくボケられると

 

きっちりと拾ってワンセットに仕上げたくなる病気が発病してる……

 

 

とーー

 

そこでなだぎさんは

 

僕に頭を下げお礼を言ってくれた。

 

「ありがとうございます」

 

 

小さな漫才は終わった。

 

 

 *

 

 

もちろんそのお礼は

 

「拾った」ことに対してであって

 

 

後に、このときの話になったとき

 

「だって、ほったらかしにされるのが一番つらいですやん(笑)」

 

と言い

 

それから

 

「芝居も一緒ですやん。芝居してても絡んでる感じがしない役者が一番つらい(笑)」

 

という

 

至極真っ当だけど

 

気付かない人はいつまでたっても気付けない

 

発言をしていた。

 

 

なんとなく

 

なんとなくだけど

 

なだぎさんが

 

笑いだけではなく

 

芝居の世界に足を突っ込んだ理由が見えた気がした。

 

 

 *

 

 

 

2度目の共演となった

 

『嫌われ松子の一生』のとき。

 

 

 

改めて

 

なだぎさん

 

安理ちゃん

 

末永くお幸せに!

 

 

 

 

 

では、また。