ども、一石二鳥の岡田達也です。
今、とあるお店で短期のアルバイトをしている。
働き始めてちょうどひと月が過ぎた。
残すところあと2週間ほどになったので
少しだけお店の話を書いていこうと思う。
まず、
何よりも、
店主(71歳)のキャラクターが強烈で魅力的なのがポイントだ。
*
「おかだくんは普段どんな演劇をしよ~るだ?」
とてもシンプルな質問だけど
実は意外と答えにくかったりする。
「どんな……、どんな……。どう説明すればいいですかね」
言い淀む僕に店主が言った。
「じゃあ、芝居のでーぶいでー、見せてぇな」
「あっ! そうですね、DVDを見てもらった方がどんな芝居をやってるか、わかってもらえますもんね。今度持ってきます」
店主は時代劇が好きだという。
ならばと
幕末の
若き上田藩士たちを描いた
青春群像劇である
キャラメルボックスの『TRUTH』という芝居のDVDを選んだ。
*
さて。
このお芝居をご存じない方には、わからない話で申し訳ない。
この物語の最後
上川隆也先輩演じる長谷川鏡吾
(平たく言えば裏切者)と
僕が演じた野村弦次郎
(平たく言えば裏切られた人)は
一騎打ちで戦い
結果、弦次郎が勝利を収める。
だけど、鏡吾にとどめを刺すことなく
「おまえも苦しみを背負ったまま生き続けろ」
というような内容のセリフを投げかけて幕となる。
あくまでも物語の構造の話だが
こちらは“いいもん”であって
たかやん先輩は“わるもん”である。
しかし
そんなことは演技には関係ないーー
ということを僕は思い知らされる。
*
翌日
店主がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「おかだくん、でーぶいでー、見たで(笑)」
「どうでした? 話はわかりました?」
「バカにすんないや! 話はようわかったで!」
「そうですか」
「これは、あれだな」
「……(これは、あれって、どれだ?)」
思いっきりのドヤ顔で店主が言った。
「えんたーていめんとだな!」
「まぁ、そうですね」
この店主は、一体どんな感想を抱いたのだろう?
聞くのも怖い気がする
「ちゃんと笑わせるところもあるんだな」
「そうですね」
「殺陣もあってなぁ」
「そうですね」
「女優さんは着物着てなぁ」
「……(裸だったら問題あるだろ?)」
「だけどなぁ、おかだくん」
「はい」
「ラストシーンな」
「はい」
「かみかわくんと一騎打ちするがないや」
「はい」
「あれは完全にかみかわくんに持って行かれとるで」
「……えっ?」
「かみかわくんはええ芝居しとる」
「……」
「おかだくんはなぁーー」
「はい」
「演じることに必死になっとってなぁ、余裕がないだが!」
「かみかわくんはなぁーー」
「はい」
「演じることを楽しんどる!」
*
いや
なんというか
ここが芝居の良いところなのだけど
感想というのは個人の自由であり
受け取り方も、見方も“それぞれのもの”である。
それに
この作品において
僕は演じる側なので
感想を強要するようなことがあってはならない。
*
「あの、最後の、かみかわくんの生い立ちを語るセリフなぁ」
「はい」
「あれは良かったで!」
「はい」
「這い上がってやろうっちゅう気概があってなぁ!」
「はい」
「あそこで多くの女性客が涙しとるはずだで!」
「はい」
「だけどなぁ!」
「はい」
「おかだくんのセリフじゃ泣けん!」
「……」
「おかだくん!」
「はい」
「演じることを楽しまないけん!」
「……はい」
「あとな!」
「……(まだあるのか?)」
「はみ出さないけん!」
「?」
「おかだくんの芝居はなぁ!」
「はい」
「丸く収まっとる!」
「……」
「かみかわくんのははみ出しとるで!」
「……」
「あぁいうはみ出したところに人は魅かれるもんだで!」
「……」
*
こうして
役者は
滅多斬りされることが多々ある。
そういう仕事なのだ。
僕は
今の仕事場で働きながら
メンタルも鍛えているのかもしれない。
お金ももらえて
心も鍛えられるなんて
万々歳じゃないか
これがホントの一石二鳥だよ
……くっそぅ
では、また。
次回出演作です。
5月9日、オンラインツアーです。
4月29日、大森美紀子先輩のお誕生日祝いします。