ども、スケジューリングに時間を取られる岡田達也です。
我が父・隆夫さん(85)は
週のうち何日かパチンコ屋に出勤する。
出かける前日には
必ず、必ず、
スラックスにアイロンがけをされる。
とても丁寧に。
なので
アイロンがけしていれば
翌日は出勤だということがわかる。
わかってしまう。
手に取るようにわかる。
「筒抜け」と言っていい。
*
送迎担当の僕は念のため
前日の夜、隆夫さんに翌朝の予定を確認している。
「明日はパチンコに行くの?」
この問いに対して、僕が欲しい答えは
「行く」か「行かない」であって
その他の情報など一つも要らない。
だけどーー
隆夫さんはワンクッション入れる。
必ず、必ず。
*
「う~ん、明日か。明日の天気はどうかいなぁ?」
……天気?
パチンコ打つのに天気が何か関係あるのだろうか?
僕は翌日の予報を伝える。
「明日は晴れるらしいよ」
と、こう言う。
「なら、ちょっと出かけてみようかな」
……なら、ちょっと出かける?
おいおい
息子に車で送られるわけだし
店内に入れば雨が降っていようが快晴だろうが一切関係ないでしょうが?
雨ならやめるのか?
雪ならやめるのか?
それにーー
スラックスにアイロンかけてましたよね?
*
別パターン。
「明日はパチンコに行くの?」
「う~ん、明日か。明日は家におってもええだけどなぁ」
「じゃ、そうすれば」
と、こう言う。
「だけどなぁ、明日は小林さん(パチンコ屋の常連さん。顔なじみ)から「出てこい」ってメールが来そうな気がするけなぁ。まぁ、行ってみようかなぁ」
……メールが来そうな気がする?
おいおい
預言者か?
あなたは預言者なのか?
そんな、来るか来ないかわからない不確かなメールを理由にしないとダメなのか?
メールが届いてから出かけても十分な気がするし。
それにーー
スラックスにアイロンかけてましたよね?
*
あと2つほど定番のパターンがあるけど
書くと長くなるのでやめておく。
……なぜ、素直に「行く」と言えない?
いや、
その理由は“後ろめたさの裏返し”だということは重々承知しているが
いつも
天気や
小林さんからのメールや
お昼を食べてくる
など
パチンコを打つには、まったく関係ない、まったく影響のない内容の話から始まり
「まぁ、行ってみようかな」
に、着地するこの会話を繰り返すたび
僕の頭には
「これは一体、何の時間なんだろう?」
という疑問が湧く
……だって
スラックスにアイロンかけてましたよね?
*
母・秀子さんが口癖のように言っていたが
つくづく不思議な人だ。
*
あ。
昨日もアイロンかけてたから、今日は出勤するんですね……
では、また。