ども、“バズる”の意味が今一つわかっていない岡田達也です。

 

 

 

 


僕は、料理をしながら酒を飲む人間だ。

 

 

料理中はビールかハイボールと決まっている。

 

理由は、熱いコンロの前で飲む炭酸が、唸るほど美味しいからだ。

 

 

いつも、何の疑問もなく、当たり前のように飲んでいたのだけど

 

ある日、その不安は突然やってきた。

 

「……あれ?」

 

「……これって、もしかして」

 

「キッチンドランカーってやつじゃないのか?」

 

 

そうだ

 

そうだよ

 

以前、テレビで見たことあるぞ

 

料理中に少しずつ飲んでいた主婦が

 

だんだん酒量が増えていき

 

引き返せなくなって、重度の依存症になって、現在リハビリ中だという話を

 

 

……完全に兆候が出てるんじゃないのか、自分?

 

 

いやいや

 

おちつけ、おちつけ

 

確かに僕は、芝居の顔合わせの日に

 

「私、軽めのアル中です」

 

と、自己紹介するようにしている男だ。

 

だけど

 

もしも自分が本物なら冗談でも言えないだろう。

 

 

それに

 

その主婦の方がどれほど飲んでいたのか知らないが

 

僕が料理中に飲むのは

 

せいぜい缶ビール1本とハイボール1杯だけだし

 

その酒量は以前から変わってないから

 

引き返せない量ではないはずだ。

 

(引き返すつもりも無いけどな)

 


う~ん

 

ひょっとすると

 

同じような悩みを抱えた人が日本全国にいるかもしれないな……

 

 

そんなことを思っていたときだった。

 

YouTubeで『料理研究家リュウジのバズレシピ』という番組を見た。

 

 

……いた

 

……ここにもいるじゃないか

 

ハイテンションで

 

ウマそうに酒を飲みながら

 

多少ろれつが回っていなくても

 

楽しそうに料理を作り

 

しかも

 

それを動画にアップして人気を博している男が。

 

 

「大丈夫だっ!」

 

「俺だけじゃないっ!」

 

「他にも同じ種類の人間がいる!」

 

「ありがとう、リュウジくん!」

 

そう思ったら、キッチンで飲むお酒がさらに美味しくなった。

 

(……弱い人間が利用する、ダメな言い訳の典型的パターンです。絶対に真似しないでください)

 

 

以来、楽しくその動画を見させてもらっているのだけど

 

そこでさらに思い出した。

 

「これって、僕が子供のときに見ていて大好きだった『世界の料理ショー』と同じだよな」

 

「グラハム・カーが美味しそうにワインを飲みながら料理を作るんだよな」

 

「……あれ?」

 

「この話、以前にも日記に書いてる気がする」

 

 

あぁ

 

そうだ

 

そうなのだ

 

 

僕という人間は

 

料理中に飲むという行為に

 

常に罪悪感を感じながら

 

常にそれを忘れ

 

常に番組を思い出し

 

常に自分を正当化しているーー

 

 

酒を飲むことより

 

そっちの方が問題なんじゃないのか?

 

 

 * * *

 

 

 

それにしても

 

酒を飲みながら楽しく料理を作る番組が

 

今から50年も前にすでに存在していたということが驚きです。

 

 

 

 

 

では、また。