ども、鳥取にドミノピザが無いことを残念に思う岡田達也です。

 

 

 

 

 

念のために言っておくが、

 

僕は預言者ではない。

 

宝くじの当選番号もわからないし

G1レースを勝つ馬の名前もわからないし

未来のことなど何一つ見えてこない。

(……おまえの知りたい未来は金に絡むことだけなのか?)

 

 

ただし

 

唯一の例外として

 

父・隆夫さんの行動・言動だけは予言できる

 

一言一句的中させる自信がある

 

悲しいくらい

 

 

この点だけに関してはノストラダムスを軽く超えている。

 

 

 * *

 

 

我が家に宅配ピザのチラシが入った。

 

食べ物の広告を何分でも眺めていられる僕は熟読していた。

 

それを見ていた隆夫さんが言った。

 

「ピザ、食べてみるかえ?」

 

「……」

 

お気遣いありがとうございます

 

とても嬉しいです

 

けどーー

 

あなた、ピザを頼んでも食べませんよね?

 

いや、食べなくはないでしょうけど、好みじゃないですよね?

 

「いやいや、食べるわよぉ~。昔、お母さんが「ピザ、食べたい」って言うけなぁ、一緒にピザ食べたことあるで」

 

それは食べたことあるって事実だけですよね?

 

そのときは美味しかったですか?

 

「美味しくはなかったけどなぁ」

 

……でしょ?

 

あなたの味覚は、あなた以上に私が理解しています

 

そして、残念なくらいあなたの味覚は未発達のまま85年経ちました

 

断言します

 

あなたの舌にピザは理解できません

 

頼むのやめましょう

 

「でも、食べてみたいが」

 

……なんで?

 

なんでそうなるんですか???

 

例えばこれが、初めてのピザなら挑戦してみたいという気持ちもわかりますよ

 

こっちだって「試してみようか?」と言えますよ

 

だけど

 

結果は火を見るよりも明らかなんですよ

 

だって「美味しくはなかった」って自分で認めてるじゃないですか

 

「2千円出すけなぁ。頼んでみて」

 

……なんで?

 

なんでそこまでして食べたいんですか???

 

ひょっとして、僕が長い時間チラシを眺めてしまったから、「はぁ、我が息子は不憫だなぁ。ピザを食べたいのに、それを買うお金も持っていないのか。よし、ここはひとつ私が買ってやろう」と思ったんですか???

 

それはそれは

 

ありがとうございます

 

でもね

 

きっとあなたは言うんですよ

 

一口食べた瞬間に

 

「こんなもんか」って

 

それを聞きたくないんです

 

だから買いたくないんです

 

これから先の人生で何回食事する機会があるのかわかりませんけど、後は口に合うものだけを食べてほしいと思ってるんですよ

 

「今夜はピザか(笑)」

 

……いつの間に決まってしまったんですか?

 

私の意見は反映されないのでしょうか???

 

「お父さんはなぁ、一切れでええけな」

 

 

僕は覚悟を決めピザ屋に電話した。

 

 

 *

 

 

焼きたてのピザが届き、フタを開いた。

 

僕はチーズを伸ばしながら、一切れカットし、隆夫さんの皿に取り分けた。

 

隆夫さんは、不器用に手に取り、一口かじった。

 

そしてガッカリした表情で言った。

 

「……こんなもんか」

 

 

お父さん

 

お父さん

 

お父さん

 

言いましたよね?

 

僕はあのとき……

 

 

いや、これ以上書くのはやめておこう。

 

20行くらいかけても、僕のツッコミが終わらない可能性がある。

 

いやいや

 

父に対するツッコミが書きたかったわけじゃない。

 

僕が言いたかったのはこうだ。

 

“僕は、父に関してだけ、預言者になれる”

 

 

ーーこれは想像だけど

 

僕と同じ力を持つ人が、日本中にいるんじゃないか?

 

そんな気がしてる。

 

 

 

 

 

では、また。