ども、委員会設置を思いついた岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日の朝

 

テレビを見ていたら

「夕食のメニューを聞かれた旦那様の「なんでもいい」という発言について」

という特集をやっており

旦那さん側、奥さん側の意見が流されていた。

 

基本、奥様方は怒っている。

 

それを見ていた父・隆夫さんが苦笑して言った。

 

「そうか、「なんでもええ」はダメか(笑)」

 

「そうだね。ま、そう言いたくなる気持ちもわかるんだよ。「毎日料理を作るのも大変だろうから、作れるものでいいよ」という意味で言ってる人もいるだろうし」

 

「そうだで。そういうことだで」

 

「だけどね、やっぱり毎日だと厳しいよ。食べたいものを言ってもらった方が楽なんだよ」

 

「そうか」

 

「うん」

 

「なら、今日は前に作ってくれた焼き肉丼が食べたいなぁ」

 

「あぁ、あれね。わかった!」

 

肉が大好きな隆夫さんには、焼き肉を提供する機会が多い。

 

だけど、いつも同じように出していると飽きるかと思い

(実際、そんなことは無いのだけど、不思議とこっちが勝手に追い詰められていくのだ)

 

先日、目先を変えるために、玉ねぎと牛バラ肉を焼き肉のたれで炒めて、温かいご飯の上に載せて出したら、これが、まぁ、驚くほど好評だった。

 

あれを作ってくれという。

 

あれなら簡単でいい。

 

僕はメニューが決まってホッとした。

 

 

 *

 

 

昨日は忙しい一日だった。

 

昼間は所要のため、隆夫さんと2時間車を走らせて人に会い

 

その後は隆夫さんの定期健診のため病院まで連れていき

 

その後は隆夫さんのおしゃべりのためパチンコ屋の食堂まで連れていき

 

85歳の老人にはとーっても忙しい日だった

 

……と、思われる。

 

 

 *

 

 

夕方

 

いつもの夕食の時間になったので、肉を火にかけようとすると……

 

「ご飯は6時でええけなぁ」と言われた。

 

その後も6時になると「6時30分でええけなぁ」と言われ

 

6時30分になると「7時でええけなぁ」と言われた。

 

おや?

珍しいな?

 

あんなに食いしん坊の父がそんなことを言うなんて……

 

「もしかしてお腹すいてないの?」

 

「実はな、パチンコ屋の食堂でビールとキムチをご馳走になってな。それに今日は忙しかっただろ? 疲れたけなぁ、ご飯はええわ」

 

……おいおい

 

それならそうと早く言ってくれよ

 

玉ねぎは刻んだし、フライパンに油はひいてるし、肉も下味付けてるし

 

この状態、どうすりゃいんだよ?

 

 

「おにぎりでええ」

 

……は?

 

 

「おにぎりでええけ」

 

そこは「おにぎりでええ」じゃなくて、せめて「おにぎりを作ってくれ」じゃないのか?

 

旦那様の「なんでもいい」と1ミリも変わらないぞ

 

遠慮の気持ちが微塵も感じられないのだよ

 

 

「中身はなんにもいらんけぇな、おにぎりな」

 

……入れません

 

何も入れません

 

安心してください

 

そんなサービスしませんから

 

なんなら塩もしませんよ

 

 

「塩むすびな」

 

……人の心を逆なでする天才か?

 

 

僕は塩むすびを作り目の前に置いた。

 

隆夫さんはペロッと食べ

「疲れたけぇ、寝るわ」

と言って寝室に向かった。

 

そして足を止め、こう言った。

 

「何か用があったらいつでも声かけてな」

 

……ないです

 

……どうぞ安心して眠ってください

 

ただ

 

これは用事ではないけど、強いて言わせてもらえるなら

 

「「おにぎりでええ」じゃなくて「おにぎりを作ってくれ」が正しい日本語ですよ」ということと

 

「明日は何があろうと焼き肉丼にします」くらいだろうか。

 

 

 *

 

 

主婦のみなさん

そして主夫のみなさん

そして主婦でも主夫でもないけど料理担当のみなさん

 

がんばりましょう

 

僕もがんばります

 

そしていつの日か『なんでもいい撲滅委員会』を設立しましょう。

 

 

 

 

では、また。