ども、スシローを口にした瞬間なぜか涙しそうになった岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日のつづき。

 

 

 *

 

 

「自転車も持って帰らないけんなぁ」

 

「……」

 

 

 *

 

 

何人かの方が正解を書いてくれていたけど

 

この「自転車も持って帰らないけんなぁ」の一文を細かく解説すると

 

「自転車をパチンコ屋の駐輪場に止めとくわけにはいかんけなぁ」

 

「誰かが乗って帰らないけんしなぁ」

 

「でも、自分は転倒してあごを擦りむくという重傷をおってしまったしなぁ」

 

「息子を呼んたのは、もちろん車で送ってもらおうと思ってだしなぁ」

 

「自分は免許を返納したし、車は息子に運転してもらわな家に帰れんしなぁ」

 

「足腰は平気だけぇ自転車の運転はできるけど、まさかさっきひっくり返ってしまった自分に、乗って帰れなんて、死者に鞭打つような冷酷な人間はこの世の中におらんだろうしなぁ」


「でも、自転車を置いていくわけにはいかんしなぁ」

 

「そう考えると、誰がこの自転車を家まで運んでくれるだろうか?」

 

「困ったもんだなぁ」

 

「どうしたもんかなぁ」

 

「誰かおらんだろうか?」

 

「自転車なぁ」

 

だ。

 

……

……

 

うるさーいっっっ!!!

うるさーいっっっ!!!

うるさーいっっっ!!!

 

なんだよ、その思考回路は???

 

どこをどうしたらそんな理屈になるんだよっっっ!!!

 

確かにあなたは一言しか喋ってないよ!!!

 

発言は一言なのに、思ってることがダダ漏れしてるじゃねーかよっっっ!!!

 

それってな!!!

 

演技の基本でな!!!

 

セリフに頼らないで心情が伝えられるのが理想なんだよっ!!!

 

そのためには、気持ちをいっぱいにしておかないと、誰にも何にも伝わらないんでね!!!

 

それが一番大変な作業なんだよ!!!

 

どんな名優だって、そこを目指して努力してるんだよ!

 

なんで、それを、いとも簡単にやってのけるんだよ!

 

……

……

 

これが、僕の妄想ならどんなにいいだろう

 

僕の心が汚れていて、父親のことをそんな目で見てることを、誰かに叱られたほうが幸せなのに

 

悲しいかな、1ミリも間違ってない

 

完璧な感情解釈ができている

 

 

僕は大きなため息を一つついてから言った。

 

「俺が取りに来ればいいんでしょ?」

 

「えっ?」

 

「お父さんを家まで送って、ここまで戻ってきて、乗って帰ればいいんでしょ?」

 

「あぁ、そうか! そうしてくれるんか?」

 

他にどんな方法があるっていうんだ……

 

 

 *

 

 

僕と父は車に乗り込んだ。

 

「ご苦労さんだったなぁ」

 

「……」

 

「でも自転車で転ぶとはなぁ」

 

「……」

 

「自転車も危ない乗り物だなぁ」

 

「……」

 

「でも、車に轢かれんで良かったなぁ」

 

「……」

 

「車に轢かれとったら合わせる顔がないけなぁ」

 

誰にだよ!!!

 

誰に合わせる顔がないんだよ???

 

それこそ車に轢かれて死んでたら、合わせる顔がないどころか、今生のお別れでしたけどね!!!

 

 

「自転車で転ぶとはなぁ」

 

「……」

 

この間、僕は一言もしゃべらないで、隆夫さんの発言を聞いていた。

 

耐え忍んでいたと言ってもいい。

 

そして、僕は家にはかえらず、スシローに向かうため、車を左折させた。

 

「おっ!スシローに行くんか?(笑)」

 

転倒のショックはどうなったんだ?

 

スシローの一言で消え去ったのか?

 

だとしたらようござんしたね

 

……と、心で思ったものの、言葉にはしなかった。

 

 

流石に鈍い父も社内の気まずい雰囲気ーー

 

というか

息子が怒ってることを察したらしい。

 

「今日はな25,000円勝ったけな、5,000円出すけな、スシローの足しにしてええで」

 

「……」

 

 

 *

 

 

親は子を選べない

 

子も親を選べない

 

神様

あなたは何を考えて世界中の親子を組み合わせているのですか?

 

 

 *

 

 

「やっぱりスシローはうまいなぁ(笑)」

 

「そうだね」

 

「魚も食べないけんしなぁ(笑)」

 

「……それ、牛塩カルビだけど」

 

「車に轢かれんで良かった(笑)」

 

「……」

 

 

 *

 

 

みなさん

自転車を運転する際にはくれぐれもお気を付けください。

 

 

 

 

 

では、また。