ども、テンドン好きな岡田達也です。
この日記を昔から読んでる方はよくご存じだろうけど
僕の父・隆夫さんには
5歳年下の多鶴子さんという妹がいる。
(つまり僕の叔母です)
僕は子供の頃から面倒を見てもらっており、一緒に過ごす時間も長かった。
オマケにどこか性格も似ているためか
多鶴子さん曰く
「あんたと私は姉弟だ。間違いない」
と常日頃からテキトーなことを言っている。
この叔母が実に面白い人で、パンチが効いたキャラクターなのは何度も書いてきたが……
昨日、多鶴子さんから久しぶりに電話がかかってきた。
そして、やっぱり、相変わらずだった。
*
「もしもし」
「達也、私よ私、誰だかわかる?」
「わかるよ」
「ホント? 電話に出てみたらあまりにも美しい声が聞こえてきて、「誰からだろう?」ってドキドキしてるんじゃない?」
「……あのな、スマホの画面に名前が出るし」
「あ、そうか」
「よく自分で「美しい声」なんて言えるね?」
「あらぁ、失礼な。私がバスガイドをやってたときなんて、私の歌声を聞きたくて、どれだけの男性が集まってきたと思ってるの? 鳥取の(美空)ひばりって私のことよ」
(多鶴子さんは高校卒業後、数年間バスガイドをやっていた)
「一度でも「鳥取のひばり」って言われたことある?」
「ない」
「……」
「そんなことより暑いなぁ」
「確かに。今日、鳥取は37度だよ」
「倉吉はもう少し低いかな。35度くらい。それでも暑くてかなわんで」
(多鶴子さんは、諸事情で数か月前から鳥取県の倉吉市というところにいる)
「部屋の中でクーラーかけてジッとしてなよ」
「言われんでもそうするわいな。こんな日に老人が外に出たら死んでしまうが」
「(笑)」
「何がおかしい?」
「お父さんと同じことを言ってる。「こんな日に外に出たら死ぬ」って。毎日言ってる(笑)」
「……お兄ちゃん、まだ生きとるか?」
「おいおい、言い方」
「あははははは! 元気か?」
「本人は「もうダメだ」「死ぬ」を連発してるけど、とても元気だよ」
「そうか」
「うん」
「達也、あと2週間待っててな」
「?」
「あと2週間で完成する予定だから」
「何が?」
「(声を潜めて)例の物よ」
「え? もしかして薬?」
「そう!」
「(爆笑)」
「いい? 完成したら送るから、毎晩、お兄ちゃんの食事に少しずつ盛るのよ」
「いやいやいや、まってまってまって!(笑)」
「なに?」
「毎回言ってるけど、俺が殺人罪で捕まるよね?」
「毎回言ってるけど、そこは安心して。罪は私が被るから」
「どうやって?」
「「甥っ子は私に脅迫されて仕方なくやりました」って証言する」
「(笑)」
「私、涙ながらに訴える」
「何を?」
「私たちがどれだけあの人に苦しめられてきたのか、を」
「(笑)」
「しかも、私、あんたと違って芝居が上手いのよ」
「……失礼だろ?」
「約束する。懲役が何年あっても、私は老い先短いから平気だけど、あんたは、もう少し寿命があるから生かしておいてあげる」
「お気持ちはありがたいけど、なんにしろ共犯じゃないのか?」
「う~ん、ま、そうだわな」
「そうだよ」
「もう少し作戦を練ってからにしよう」
「はいはい。で、今日は何の用事?」
「あのな……」
*
本題に入るまでの無駄話の長さ
しかも、毎回、隆夫さんを毒殺する話
この叔母は最強だ。
もしも
『ゆるキャラ選手権』
みたいなかんじで
『叔母キャラ選手権』
が開催されたなら、是非とも出場させたい。
きっと審査員特別賞あたりをとりそうな気がしている。
では、また。
岡田達也
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※ 残念ですが、多鶴子さんは参加しません。