ども、「展示品で良いので安くして」と交渉して3割引きで新しい扇風機を手に入れた岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日のつづき。

 

 

 *

 

 

川原和久アニキの演じた竜馬は

大きくて、強くて、茶目っ気があった。

 

上川隆也先輩の演じた竜馬は

色気と、スピード感と、キレ(ツッコミ含む)があった。

 

 

さてさて

 

自分はどんなふうに竜馬さんという人物を捉えて

結果、どういう風に演じて

さらに、俳優としての自分の色をどう出せばいいのか?

 

稽古中から悶々としていた。

 

 

もちろん司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』は読んでる。

 

他にも関連資料は読んでみた。

 

稽古前には高知まで足をのばして

 

桂浜から海を眺め

 

船に乗せてもらって太平洋に浮かび

 

坂本龍馬研究家の人たちと酒を酌み交わし

(高知の人はみんなお酒が強いです。潰されそうでした)

 

いろんな人の話を聞くことで

「竜馬さんはどんな人?」なのかを掴もうとした。

 

けれど……

 

やっぱりよくわからないのだ。

 

だって

どの人の話も伝聞であって、誰も本人に会ったことがないから。

 

だから

話す人によって竜馬さんが微妙に違ったりする。

 

そりゃそうだよな……

 

 

僕の頭の中には、明確な竜馬像がないままに

 

言葉が悪いけど「モヤモヤ」としたまま迎えた初日だった。

 

 

 *

 

 

初日

 

主人公の岡本を演じる南塚はフラフラだった。

 

途中何度か「こいつ意識が飛んでるんじゃないか?」と心配になるほどの状態だった。

 

僕は

南塚の襟首をつかんで舞台裏を走った。

 

あいつの背中を蹴って舞台に押し出した。

 

ラストシーンでは力いっぱい頭を叩いた。

 

そして

 

カーテンコールでの拍手をもらったときに

ハタと気付いたのだ。

 

「あれ? 余計なことしない(考えない)で、これでいいのかも……」

 

 

 *

 

 

人の数だけ竜馬像はある。

 

みんなの頭の中にある竜さんを具現化しようなんて土台無理な話で

 

そもそも

僕は細部までみっちりと役を作り込むような器用なタイプではないのだから

 

ある意味“諦める”ことも大切で

 

その代わり

(になるかどうかわからないけど)

“自分なりの足し算”をするほうが、よほど建設的じゃないのか?

 

だって、これ、

芝居だし。

 

 

とすれば

 

今は

相手役である南塚を

 

引きずり回し

蹴り飛ばし

叩きまわって

という、多少手荒い扱いをしながらも

 

こいつが

舞台上で

呼吸ができて

セリフがちゃんとしゃべれて

自由に動き回れて

 

という“場や空間を提供する”ことが

自分の考える(あるいはやりたかった)竜さんかもーー

 

と、南塚に気付かされた。

 

 

あんなダメダメな

 

甘えん坊体質の

 

一緒に飲みに行ったとき

魚の骨が喉に刺さってしまい

店を出るまで喉に指を突っ込んで「骨が、骨が」と言って

俺の話をうわの空で聞きいていた男に

教わることがあるなんて……。

 

 

 * *

 

 

思っていたより長くなってしまったけど

おそらく明日で最後です。

 

 

 

 

 

つづく