ども、完走した岡田達也です。
舞台は「ショーマストゴーオン」。
幕が開いたら、何がなんでも最後まで続けなければならない。
昨日のつづき。
*
人生初めての骨折を
舞台の上で経験し
お医者さんに呆れられながらも
バストバンドと座薬をフル活用することで
僕はすぐに舞台に戻ることができた。
結果だけ言えば、舞台に穴をあけないですんだ。
そりゃ、胸は痛かった。
その証拠に
(という言い方はおかしいが)
悲しいシーンでもないのに僕は舞台上で泣いていた。
しゃべると、肋骨と肺が擦れて痛いから、泣きたくもないのに勝手に涙が出てくるのだ。
“普通のセリフをしゃべっていても涙が出てる”という状態なので
お客さんには
「……あの演技には何か意図があるのだろうか? それともあいつは花粉症なのか?」
という、余計な深読みさせてしまった可能性は大いにある。
あるけど
とにかく無事に、東京、札幌、仙台と本番をやり切ることができたのだ。
それが、どれほど僕にとっては大きな結果となったか。
もしも……
あのとき1ステージでも穴をあけていたら
胸の痛みどころではない大きな痛みを、その後ずっと抱えて生きていたのだと思う。
* *
どんな仕事でもそうだろうけど
「代わりがいない」ということは、それだけ責任重大であって
結果、個人にかかる負荷は大きくなる。
だけど、その負荷の大きさこそが人を成長させる材料だったりするよな
ーーと思う。
(もちろんバックアップの重要性も認識してますよ)
*
さてさてさて
ずいぶん長い時間をかけて書いてきたけど、話を大きく戻そう。
これまでなら
「熱がある」
「骨が折れた」
などは、多少痛かろうがしんどかろうが、舞台に立つしかなかった。
それ以外の選択肢は無かったのだ。
でも、今は違う。
少なくともウィルス感染に繋がるような危険性(可能性)が少しでもあるならば
舞台が中止になる覚悟を持って申告するしかない。
その恐怖を考えると、えらい時代になったもんだと寒くなる。
舞台も、スポーツも
細心の注意を払いながらなんとか再開され始めた。
「感染したくないし、させたくない」のはみんな同じだ。
今は舞台に立っていない僕でさえ願う。
今、行われてる舞台
これから始まる舞台のすべてが
どうか無事に千穐楽を迎えられますように、と。
なんなら
出演者たちの骨は折れてもいいから(?)
微熱が出ないでください、と。
* *
余談だが……
僕は『嵐になるまで待って』の直後
連投で『ブラック・フラッグ・ブルース』という芝居に出演が決まっていた。
骨折が判明した直後、演出の成井さんから
「次の作品は出番少な目で、なるだけアクションシーンには絡まないようにしよう」
という、非常にありがたく、温かい提案をしてもらった。
読み合わせの日
もらった台本を見て目が飛び出た。
「ダイゴが殴る、蹴る、飛ぶ」というト書きが山のように書かれていた。
僕は訴えた。
「……成井さん、話が違いませんか?」
成井さんは笑いながら言った。
「いや~、真柴さんがね、なんか書いちゃったみたいなんだよね。筆が走ったんだろうね(笑)」
僕の肋骨がくっつくのに時間がかかったのは言うまでもない。
あれは成井さんの計画的犯行だった
ーーと、僕は今でも思っている。
では、また。