ども、生まれ変わった岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日のつづき。

 

 

 *

 

 

僕が通っていた京都・太秦にある蜂ヶ岡保育園では

毎朝、園児たちによる乾布摩擦が行われていた。

 

 

「乾布摩擦(かんぷまさつ)」

 

ご存じだろうか?

 

 

僕は、保育園で経験しただけで

卒園後は一度もやったことないし、

 

もっと言えば

誰かがやっているところすら見たことない。

 

つまり

蜂が丘保育園でしかやったことない運動で

 

でも、現に「乾布摩擦」という言葉が存在するのだから

きっと他にもやってる人はいたのだろう。

 

その内容は

文字通り

乾いた布やタオルで、全身の肌を、ゴシゴシと擦るーー

というもの。

 

男の子も女の子も

全員がパンツ一丁になって

保育園の庭に整列し

先生の指導の下

キャッキャッ言いながら

夏でも冬でも

毎朝タオルで体をこすっていたのだ。

 

5歳の僕には乾布摩擦をする意味なんてわからなかった。

 

ただ、言われたからやってるだけのことで

その効能も効果も、何も期待しないでひたすらこすっていた。

 

なんだけど……

 

 

 *

 

 

卒園を機に鳥取へ引っ越し

無事に父・隆夫さんとも一緒に暮らすことになった。

 

僕はピカピカの1年生になった。

 

そして

4月が終わろうとするころだったろうか

 

母・秀子さんが言った。

 

「達ちゃん、熱が出ないね」

 

……あれ?

 

……そういえば

 

……小学生になってから一度も扁桃腺が腫れてないな

 

それは

僕にとって奇跡のようなことで

 

あの喉の痛み

高熱の苦しさ

扁桃腺に直接塗られるルゴール(薬)の味

お尻に打たれた注射

 

どれも子供にとってはイヤなことでしかなかったから

それが来てないことを指摘されて

まずは驚き

そして喜んだ。

 

その事実がどれだけ嬉しかったことか。

 

 

そして母は続けた。

 

「きっと乾布摩擦のおかげね」

 

……え?

 

「乾布摩擦は体を強くするためにやるのよ」

 

……そうなの?

 

「あれをやると風邪をひかなくなるって言われてる」

 

あぁ、なるほど

 

そうなんだ

 

そういう目的があったんだ

 

「だって、あなたは風邪をひかなくなったでしょ?」

 

言われてみれば……

 

「ちゃんと乾布摩擦の効果が出てるんじゃない」

 

そうか

 

そうだったのか

 

「もう、大丈夫だね」

 

おかあさん

 

お母さんの言う通りです

 

僕は強くなりました

 

乾布摩擦のおかげで僕は頑丈になったんです

 

昨年までは本当にご迷惑をおかけしました

 

夜中に走らせてすみませんでした

 

ずっと泣いててすみませんでした

 

お医者さんの前でオナラしてすみませんでした

 

もう大丈夫です……

 

 

 * *

 

 

ウソのような話だが

 

この後、僕は

「中耳炎」で1回

「インフルエンザ」で1回

この2回しか、学校や仕事を休んだことがない。

 

少なくとも月に3度は寝込んでいたあの子供が。

 

これは

もしかするとだけど

 

母・秀子さんの

あの囁きが

 

実は

プラシーボ効果を伴っていて

 

おバカな僕は

それを真に受けてしまった

 

 

……ひょっとするとそうなんじゃないだろうか?

 

それが一番納得いくんですけど

 

他に説明がつかないんですけど

 

だって、まだ扁桃腺残ってるし

 


 *

 

 

中央が筆者

 

 

 *

 

 

Wikipediaで改めて調べてみた。

 

「乾布摩擦」

 

肌を、乾いたタオルなどで直接こする代替医療・民間の健康法の一つ。 自律神経鍛錬、体力向上、風邪予防、免疫力を上げる、などとメリットを謳っているが、健康に良いという科学的エビデンスはなく、かえって皮膚炎を起こすといわれている。 「寒風摩擦(かんぷうまさつ)」と誤記されることもある。

 

……え?

 

……そうなの?

 

 

 

 

 

では、また。