ども、ツーファー予備軍の岡田達也です。

 

 

 

 

 

何年前だったろう?

 

初めて尿酸値が基準値を上回ったときのこと。

 

人間ドックの最後の問診で

お医者さんにハッキリとこう言われた。

 

「このままだと痛風になりますよ」

 

「!」

 

 *

 

“痛風”

 

知り合いにも何人かいた。

 

みんなに共通して言えるのは

足を痛がる素振りが

「それは本気ですか? それとも芝居ですか?」

とツッコミたくなるほど大きいことだ。

 

まぁ

「風が吹くだけでも痛いから痛風」

と名付けられたそうなので

かなりの痛みであることは間違いない。

 

 

むかしむかし

西田シャトナーさんと一緒に稽古をしているとき

(当時はシャトナーさんも痛風持ちだったんです)

 

なんとか稽古場の建物の前までは来たものの

そこで力尽きてしまい

建物の中に入ることができず

(痛みで歩けないため)

 

結局

“予約していた稽古場を外から見ながら、建物の横で稽古する”

という、冗談のような経験もしたので

 

その痛みがどれほどのものなのかは想像がつく。

 

 *

 

「このままだと痛風になりますよ」

 

「!」

 

「お仕事は何でしたっけ?」

 

「……芝居をやってます」

 

「お芝居?」

 

「……ええ、まぁ。主に舞台です」

 

「あはっ!」

 

なぜだかお医者さんは鼻で笑った。

 

「……(何がおかしいんだ?)」

 

「舞台?」

 

「えぇ」

 

「舞台になんか立てませんよ!」

 

「……そ、そ、そんなにですか?」

 

「無理、無理(笑)」

 

「……」

 

「痛いですから」

 

「……」

 

「動けませんから」

 

そして、お医者さんは、最後に殺し文句を発した。

 

「痛風、なめないでくださいよ」

 

「……」

 

 

 *

 

 

病とはそういうもので

 

それまで

完全に他人事でしかなかったものが

 

ある日突然襲ってきやがる。

(だからこそ普段から健康であろうと努力するんですけどね)

 

 

先生の言葉に僕は震えた。
 

 

 

 

 

つづく