ども、名探偵岡田達也です。

 

 

 

 

 

我が家の玄関はアルミサッシでできている。

 

扉を横に引くタイプで

築40年とは思えないほど

元気で、軽やかに、「カラカラカラ」という音を響かせ

毎日、我々を迎え入れてくれる。

 

その軽やかな音は実によく響きーー

 

いや、

響きすぎるために

 

僕が若かった頃はとても苦労した。

 

朝帰りするたび

「カラカラカラ」と鳴らして母・秀子さんを起こしてしまわないよう

静かに玄関を開けるために

 

「カラ……、カラ……、カラ……」

と、一音ずつ区切ってサッシをスライドさせるものだから

自分の体が通り抜けられる幅まで開けるのにどえらい時間を要したものだ。

 

余談だがーー

 

ようやく体を忍び込ませたと思ったら

秀子さんが土間の上に仁王立ちしていたことがある。

 

あの時ばかりは腰を抜かした。

 

心臓が止まるかと思った。

 

 

 *

 

 

一昨日

玄関を開けようとしたら

「ギィギィギィ」と不快な音をさせて

何かが引っ掛かるような手応えがあった。

 

僕の朝帰りを

秀子さんに知らせるために

常に軽やかな音を奏でてくれていたサッシが

悲鳴を上げている

 

あ……

これは、サッシの下に小石か砂利が挟まっているな……

 

助けなければ

 

僕は頑張ってサッシを外し

障害物を見つけだした。

 

それはーー

 

小石や砂利ではなくーー

 

銀玉だった。

 

 

そう

 

パチンコ玉である。

 

……玄関に?

 

……パチンコ玉?

 

 

僕は鳥取出身のライバルである『名探偵コナン』よろしく

超高速回転で推理し

 

犯人が父・隆夫さんであることを突き止めた。

(ま、私自身が犯人である可能性も0ではないがな)

 

 

僕は、犯人に、証拠品を突き付けた。

 

 

「玄関の下からこんなものが出てきたよ」

 

「フォフォフォ(笑)」

 

「……」

 

「これはーー」

 

「……」

 

「俺だな」

 

「!」

 

「俺が落としたんだな」

 

「(み、認めた!)」

 

「俺の玉だな」

 

「(……表現を考えろよ)」

 

「不思議なことがあるもんだな」

 

「……」

 

「よし、これで一発逆転狙うか(笑)」

 

「……」

 

 *

 

お母さん

 

2人は相変わらず無駄に元気です

 

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

※ コナンが鳥取出身かどうかは知りません。

『名探偵コナン』の作者の青山剛昌さんが鳥取出身なだけです。