ども、出会っていた岡田達也です。

 

 

 

 

 

今、朝から晩まで稽古している。

 

とにかく稽古、稽古の毎日で、稽古以外のことは何もしていないと言っていい。

 

ここ何日かテレビも付けていないので

世間の動向も知らないし

(元々、世間知らずな男ではある)

 

ホークスの福田選手がFAでどこに行くのかもわからないし

(やっぱりそこは心配なのです)

 

今日が何曜日なのかもわからない

(……ただのバカなんじゃないか?)

 

そんな状態で生きている。

 

ただただ真面目に稽古しているので

(当たり前だ)

ここに書きたいと思うような出来事に出会っていない。

 

 

が。

 

稽古場にいても“驚き”というのはあるものでーー

 

 * *

 

今回、初共演になる唐橋充さん。

僕の次に大人な役者で、現在42歳。

 

ネットで写真を拝見したところ、かなり骨太でゴツいイメージを抱いたのだが

実際に会ってみると、実は真逆で

とにかく繊細で物腰が柔らかく、ときたま顔を出すオネエ言葉がよく似合う

そんな人物だった。

 

僕はすぐに唐橋さんの大ファンになり、稽古場では席も近いので、毎日バカ話に花を咲かせている。

 

……と

 

「岡田さん、実はーー」

 

「何?」

 

「僕ね、25年以上前に岡田さんにお会いしてるんですよ」

 

「あ、何かの芝居を観てくれたってこと?」

 

「いえいえ、プライベートで(笑)」

 

「えっ!」

 

僕は頭の中で遡ってみたが、この男に出会った記憶はどこにもない。

 

「そりゃ思い出せませんよ」

 

「なんで?」

 

「成井さんが早稲田大学でワークショップの講師をやられたんですけどねーー」

 

唐橋さんは早稲田の劇研出身と聞いたことがある。

 

「そのときのアシスタントが岡田さんだったんですよっ!」

 

「!!!」

 

「ヒッヒッヒっ。僕は25年も前に、岡田さんの授業を受けてるんですよね(笑)」

 

「いやいやいや!」

 

「なんですか?」

 

「まてまてまて!」

 

「なんですか?」

 

「それはあくまでも成井さんの授業であって、俺はアシスタントでしょ?」

 

「そうですよ」

 

「授業を受けてるとはならないでしょ?」

 

「そんなのどうでもいいんです。当時、キャラメルボックスの作品をどれだけ観たかっ!」

 

「そうなの?」

 

「「あやめ、竹芝桟橋で待ってる」 くぅ~! 西川さん、カッコイイ!!!」

(※ キャラメルボックスで上演した『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』という芝居の中のセリフ)

 

「ええっ? よく覚えてるね!」

 

たまにいるのだ。

自分が影響を受けた芝居のセリフを覚えてる演劇小僧というのが。

 

「だから成井さんのワークショップにも参加したんですよ!」

 

「まぁ、そりゃそうか」

 

「だから、今、こうしてレジェンドと共演できていることがどれだけ嬉しいか」

 

「……誰がレジェンドやねん? 勝手に人を伝説にするなよ」

 

「生きてるレジェンドもいっぱいいるじゃないですかっ!」

 

「スポーツの世界とかにはいるけどね。少なくとも俺はそうじゃないし」

 

「いえ、レジェンドです!」

 

「……話の流れからすると、西川さんがレジェンドって言われるのはわかるんだけど」

 

「あぁ、そうですね。じゃ、西川さんをレジェンドにします」

 

「じゃ、俺は?」

 

「気さくなおじさんで」

 

「……」

 

「うそうそウソ! やっぱりレジェンドです(笑)」

 

 *

 

生きていると、こんなことがある。

 

どうやら油断して生きていてはダメらしい。

いつ何時、人は繋がっているかわかったもんじゃない。

 

でも、こんな話が聞けるのはとても幸せだ。

 

 

僕の授業を受けた(?)唐橋さんの

大人の色気を振りまく芝居もお楽しみに。

 

 

 

 

 

では、また。