ども、いつもは3番の岡田達也です。

 

 

 

 

 

「台本に何を書くか?」

 

これは役者によってまったく違う。

 

僕の知る限り、いくつかのパターンに分けられる。

 

あくまでもざっくり分けてみるとーー

(大事なことなのでもう一度言いますが、あくまでもざっくりであり、僕の知る限り、です。そこをお忘れなく)

 

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1 ひたすらダメ出しを書き込む

 

まぁ、このタイプが一番多いかもしれない。

 

とにかく演出家に言われたことを、書く。

「もっと強く!」「ここは高い音で」という具体的な指示だったり

「感情の波を大きく動かすけど、周りにはわからないくらいに表現する」などの細かいことだったり。

確かに、その俳優にとっての大切なキーワードや、演出家に指摘されたことを書くのはとても重要だと思う。

 

悲しいのは……

「言われたことを台本に書いておけよ!」

と、演出家に怒鳴られる役者をよく見けかることだ。

これは若い俳優さんにありがちで、同じダメ出しを何度か言われても修正できなかったりすると、この怒声が飛んでくることが多い。

 

だからといって、書き込みが多い俳優が怒られてばかりかと言うとそうでもない。

 

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2 自分の気付いたことだけを書き込む

 

演出家に言われたことは自分の脳内で記憶してしまい何も書かないけど

逆に、自分が気付いたことだけを書き留めておく人がいる。

それは具体的な演技法だったり、その人だけが理解できるキーワードだったり、ギャグのネタだったり……

 

「人に言われたことは覚えてて、自分が思ったことを忘れるの?」

と、不思議に思われるかもしれないが、これもけっこうある話だ。

 

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余談だがーー

 

1と2のミックス型という人もいる。

 

台本に書き込みしすぎて、真っ黒になり、後で読み返しても本人ですら解読できない、という本末転倒な人もいる。

ウソのような話だがいるのだ。

きっと書くことで満足するのだろう。

 

キャラメルボックスではOB・今井義博くんがこのタイプだった。

青年座の小林正寛さんもそうで、あまりにも書き込みしすぎて、その筆圧で台本が破れまくっていた。

あんなハードな書き込み、他で見たことがない。

 

「ねぇ、これ、なんて書いてあるの?」

 

「……いや、僕にも読めません」

 

実際に行われた僕とコバさんの会話だ。

 

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3 「ではけ」だけを書き込む

 

「ではけ」とは、登場や退場する場所のことで

「上手」「下手」「奥」「センター」とか

「1袖」「2袖」「3袖」など

具体的な場所を書いておく。

 

他は何も書かないけど、これだけ書く人もいる。

 

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4 何も書かない

 

これもけっこういる。

 

僕が若い頃

尊敬する、とある先輩俳優が真っ白な台本を持っていた。

不思議に思った僕は

「あれ? ダメ出しは書き込まないんですか?」

と尋ねてみた。

 

すると……

「書かなきゃクリアできないなんて、いつまで経ってもちゃんとダメ出しを消化できないよ。演出家に言われたことくらい頭で覚えて処理できなきゃ」

と言われた。

 

その言葉がどれほどの衝撃となって僕にのしかかってきたか。

 

それが正解かどうかはさておき、そのときの僕はとても納得した。

その日以来、僕はダメ出しを書くのをやめてしまった。

 

繰り返すが、それが正解なのかどうかは今でもわからない。

 

ひょっとして、あのままダメ出しを書き続けていたら、今頃僕は大ブレークしていたのかもしれない。

実に惜しいことをした。

 

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5 『宇宙戦艦ヤマト』を書き込む

 

僕の尊敬する上川隆也先輩がこのタイプだ。

しかも松本零士さんに負けないくらい上手い。

 

 *

 

このようにいくつかのタイプに別れていて……

 

 

 

 

 

つづく