ども、ナイスミドルを目指す岡田達也です。

 

 

 

 

 

僕も気付けば51歳だ。

 

世間では十分に大人だと思うし

子どもたちの手本になるような立場だと言っていい。

 

だから、日頃の言動も“ナイスミドル”に見えるような立ち振舞いを心がけている。

 

「達也さん、かっちょいいなぁ」

 

「大人になったら、ああなりたいもんだ」

 

あまり大きな声では言えないけど

そんな称賛の声を

心の奥底では求めている。

 

 

だって

 

大人だもん

 

 *

 

昨日

スケジュールの関係でずっとすれ違っていた

染谷俊くん(通称・ソメ)と久しぶりに再会した。

 

ソメとは『アンフェアな月』で共演している。

 

 

稽古場に入ってきたソメが僕に気付いて声をかけてくれた。

「あっ! 兄さん! お久しぶりです!」

 

次の瞬間ーー

 

僕はソメの両足を自分の脚で挟み込み

ロックして、なぎ倒し、マウントポジションを取って

チョークスリーパーに入ろうとした。

 

……してしまった。

 

それは、反射だ。

 

体が勝手に動くのだ。

 

動いてしまうのだ。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと! なんで会って早々にプロレス技なんですか!」

 

『アンフェアな月』の稽古場でも

ソメは僕のスパーリングパートナーとして

(本人は指名された覚えはないだろうが)

何度も、裸絞や、三角締めなどの技を食らっていた。

 

「達也さん、ダメですって! もう大人なんですから!」

 

「!」

 

し、し、

しまった

 

また、やってもうた……

 

劇団ならまだいい。

どうせ素顔はバレているのだ。

いまさらカッコつけたって手遅れだし。

 

でも。

せめて外の現場では仮面を被っていたい。

 

「達也さんって物静かな人だな」

 

「常に稽古場の隅で台本を読んでるな」

 

そういうヤツ

 

そういう声が欲しいのに

 

そう思っているはずなのに

 

気がつけば

会ってすぐの人に

プロレス技をかけようとしている自分がいた。

 

これは……

 

何が原因なのだろう?

 

何がいけないのだろう?

 

なんで51歳にもなって

未だにガキ大将のような気質から卒業できないのだろう?

 

僕は周囲を見渡した。

 

今の場面を見た他の出演者の面々はどう思ったのだろう?

 

「あの人、久しぶりに会った俳優を捕まえて、挨拶代わりにチョークスリーパーにいこうとしたぞ……。気は確かなんだろうか?」

 

そんな空気が漂っているような気がした。

 

 *

 

この現場では一番年上らしい。

 

今日から心を入れ替えて

お手本になるような立ち振舞でいたいと思っている。

 

 

くぅ~

取り返せるんだろうか?

 

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

 

 

 

 

常に