ども、逃避するのが得意な岡田達也です。

 

 

 

 

 

『刀剣乱舞』の台本を読んでいる。

 

まだ完全な決定稿ではないので

セリフを叩き込む必要はないのだけど

 

51歳の脳みそでは

若者たちの“覚えるスピード”に追いつけるわけもなく

(信じてもらえないかもしれないが、僕も若い頃は覚えるのがめっちゃ早かった。……いやいや、ウソじゃないですよ。本当ですって)

 

もしもこの先、セリフの変更があったとしても

もう、手を付けなければ絶対に間に合わない自信があるので

ゆるゆると覚え始めている。

 

 

 * *

 

俳優さんでなければ「なんのこっちゃ?」という話なんだけど……

 

 * *

 

例えばーー

 

「おまえ、何てことしてくれたんだよ!」

というセリフが書かれていた場合

 

チョイスされるべき感情は「怒り」だということが、なんとなく読み取れる。

(もちろん、前後のセリフにもよりけりですが)

 

で。

 

セリフを覚えるときに

“怒りながら「おまえ、何てことしてくれたんだよ!」と言ってみる”

というのは、けっして間違いではないのだろうけど

 

僕は極力それをしたくない。

 

セリフに含まれるであろう感情を

決め打ちして覚えてしまうのは

ある意味で

不自由を身にまとってしまうのと同じで

 

もう、最初に読み取った(読んでしまった)

その解釈(感情)から離れられなくなる。

 

少なくとも、僕のような融通の効かない役者はそうだ。

 

 

若い頃

成井さんや先輩たちにいつも言われて怒られていた。

「おまえは、セリフをなぞるな!」と。

 

どこまで意識できていたのか自分でもわからないけど

「このセリフはこうだから、こうしゃべろう」

と、一度思ってしまうと

 

自分の求める音色、音階、強弱、スピードなんかを

頭の中で決めてしまい

 

その音を出したいがあまり

ある意味

「メロディが決まっている歌を歌う」のと同じように

セリフをしゃべっていたのだと思う。

 

下手な俳優の

決め打ちされたセリフ

 

……考えただけで恐ろしい

 

「おまえがしゃべると地獄絵図だ」

という、成井さんの名言を引き出したのもうなずける。

 

 

だから、極力

「セリフはフラットに覚えたい」

と心がけている。

 

何も感じず

ひたすら記号のように暗記する

(例えるなら、歴史年表とか、円周率とか)

 

感情の流れはあってもいいけど

発語する瞬間の感情は稽古場に立ってから

 

なんて思ってはいる。

 

いるのだけど

これがまた難しくて……

 

自分の脳みそすら

自分でコントロールできないものなのか?

と、ガッカリしながら過ごす毎日だ。

 

 *

 

昨日、台本を読みながら

その壁にぶち当たった僕は

 

「はて? 今、自分が本気で円周率を覚えたとしたら、何桁までいけるのだろう?」

と考え始めた。

 

……気がつけば10分くらい経っていた。

 

これが

俳優にありがちな

「セリフを覚えるのが嫌になったときの現実逃避」

というやつである。

 

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

 

追伸

 

箱根駅伝予選会

残念ながら僕の応援する山梨学院大学が負けてしまいました。

来年の正月は芝居に打ち込もうと思います。