ども、複雑な心境の岡田達也です。
滑舌練習のテキストとして
『外郎売り(ういろううり)』なるものがある。
『外郎売り』
http://voice-actor.link/practice/uirou1/
元は歌舞伎の古典だが
現在では演劇でも、アナウンサーでも、声優でも
しゃべる人たちは、みんなこの訓練をしてきたといっていい。
キャラメルボックスでもよくやった。
しかも、ただ読むのではなく
2人組でユニゾンでしゃべったり
2人組で順番にしゃべったり、など
数多くのバリエーションを付けて練習してきた。
そのとき
成井さんが必ず言っていた。
「2人で順番にしゃべるときも、まるで1人の人がしゃべってるように聞こえたい」
それは
2人の中で
同じテンポ感、同じリズムを共有できていることが大切ということで
つまり
最終的には
キャラメルボックスで芝居をやるときは
出演者全員でテンポとリズムを共有することが求められる。
*
成井さんの書く脚本には
俳優に求められる“あるリズム”が存在する。
だから、
それを早く理解して掴む必要があり
それがより物語を立たせることになる。
でも。
これには、好みがある。
一定のリズムでしゃべると、個性は失われやすい。
だから
「キャラメルボックスのセリフは、誰がどれをしゃべろうと同じに聞こえてつまらない」
というようなことを何度も言われたし
誤解しないで聞いてほしいのだけど
以前、綾田俊樹さんの演出を受けたときに
本読みの途中で止められて
「君は、上川くんと同じしゃべりをするんだね」
と、皮肉っぽく言われたことがある。
要は
上川さんや僕のセリフには
あるリズムとテンポがあるらしく
綾田さんは
(というか『東京乾電池』の芝居は)
「それをいかに消すか?」で、セリフに生っぽさを生み出そうとする。
どちらが正しいというのではない。
だって
僕もたかやん先輩も成井塾の塾生なので
同じ技術が身に付いてても何ら不思議ではないし
それを好まない人がいるのも理解できる。
これは方法論の違いだ。
* * *
大阪で『仮面山荘殺人事件』を観た。
キャラメルボックスからは
坂口理恵
畑中智行
筒井俊作
原田樹里
関根翔太
の5人が出演していた。
身内贔屓と言われるかもしれないけど……
5人とも成井さんの脚本を何度もやってきてるだけあって
きっちりとリズムを持ってしゃべるのだ。
それがとても気持ちいい。
今、ラグビー・ワールドカップが大変盛り上がっているが
素人の僕が観ても
明確なパスと
苦し紛れのパスでは
出る結果に大きな差がつくことに気づく。
セリフも同じ。
明確にパスできなければ
自分も
相手役も
死んでしまう。
この人たちには
そのことが叩き込まれている。
* *
成井塾の俳優たちは
いろんなところで休むことなく頑張ってます。
少しお待たせするかもしれませんが
気長に待っててやってくださいね。
では、また。
追伸
ホークス、勝ちゃいましたね。
僕はこの制度(CS)がイマイチ好きではないので全力で喜べませんが
もちろんルールなので従いますし、
こうなったら
ライオンズのみなさんの思いも抱えて戦ってきてほしいです。
頑張れ、ホークス。