ども、電動よりもT字カミソリが好きな岡田達也です。

 

 

 

 

 

どうしてもシェーバーだと剃り残しができてしまって

肌に悪いとわかっていながらも、ついついT字で深剃りしたくなる。

 

それだけなら良いのだが

深剃りを追求しすぎて血だらけになることも多々ある。

 

あくまでも個人的な統計だが……

5割の確率で血を流しながらひげ剃りしている。

 

それでもT字カミソリはやめられない。

 

「深剃り」

それは

僕にとって快感なのだ。

 

 

 * * 

 

 

父・隆夫さんは二刀流だ。

シェーバーもT字カミソリも両方使う。

 

どのように使い分けているのか聞いたことはないが

パチンコ店に出勤する前には必ずどちらかを使い

身なりを小綺麗にして出かけている。

 

 

これは偶然なのだがーー

 

僕も父も『Gillette』の『カスタムプラス』という

使い捨てのカミソリがお気に入りで

二人して同じ商品を使っている。

 

ってことはーー

 

その『Gillette』さえ買い置きしておけば

二人とも困ることはない。

 

気前の良い父は

『Gillette』の6本パックや10本パックを見かけると購入し

「使ってええで」

と声をかけてくれていた。

 

僕はありがたくお言葉に甘えていた。

 

それは

いつも

いつもいつも

そうだった。


その父の気前の良さがブレたことは

一度もない。

 

 *

 

一昨日。

 

父が僕の目の前に『Gillette』の3本パックを差し出してきた。

 

 

珍しいな……

いつもはもっと大量に入っているヤツを買ってくるのに

3本入りなんてどうしたんだろう?

 

ま、いっか

商品はいつもと同じなのだから問題ないや

 

僕はそのひげ剃りを風呂場に持っていこうとした

 

……と

 

隆夫さんから信じられない一言が飛び出した。

 

「それ、100円で売ったる」

 

……えっ?

 

……えっ?

 

ごめん、お父さん

 

オレの耳がおかしくなったのかな?

 

それとも頭がおかしくなったのかな?

 

「それ、100円で売ったる」

って聞こえたんですけど

 

「使ってええで」

の間違いですよね?

 

追い打ちをかけるように隆夫さんは言った。

 

「100円でええけな」

 

 *

 

僕は混乱した。

 

パニックになった。

 

なぜ?

なぜなんだ?

 

今まで一度もお金なんて取らなくて

「好きに使っていい」

と言ってきたのに

なぜ、今、100円を要求したのですか?


確かに

身内だろうが

親戚だろうが

お金の問題はキッチリしておいた方がいい。

 

ここをグズグズにすると大きなトラブルになる可能性もあるし。

 

だけど

 

このカミソリ、売りつけてきます?????

 

しかも100円で?????

 

僕は100円ごちそうするほどの価値もない息子ですか???

 

確かに不出来な愚息ですが

あなたのために頑張って生きてるとこ、意外とありますよ!!!

 

 

いったい、何があったんですか、お父さん???

 

 

……

……

 

この間、0,1秒

 

 

結局

僕はモヤモヤした気持ちで財布から100円玉を取り出し、テーブルの上に置いた。

 

隆夫さんはその100円をソッと自分の小銭入れにしまった。

 

 *

 

なぜ100円を要求されたのか?

 

ここ2日間

僕は密かに悩んでいる……

 

 

 

 

 

では、また。