ども、ドキッとした岡田達也です。
昨日の朝、この日記を書いているときだった。
机の上に置いてあるスマホが鳴った。
……えっ？
……電話？
今、8時過ぎだぞ
こんな時間に電話をかけてくるなんてよほどの急用なんだろうか？
誰だろう？
僕はスマホの画面を見た。
「0857-37-○○○○」
この市外局番は鳥取市だ。
で、固定電話だということもわかる。
さらに、番号が表示されているということは
僕のスマホには登録されていない人からだ。
ますます謎は深まる。
鳥取の誰からだろう？
僕は電話に出た。
「もしもし」
年配の男性の声が聞こえてきた。
「あ、岡田隆夫さんの息子さんですか？」
僕の心臓がキュッとなった。
＊
想像してほしい。
朝の8時に知らない番号から電話がかかってきて
「◯◯さんの息子（あるいは娘）さんですか？」
と問われてごらんなさい。
“何かがあった”と考えるのが普通だろう。
僕は一瞬で考えを巡らせた。
例えば
父が現在入院中とかなら
「容態が急変しました」
という連絡が来てもおかしくない。
だが。
隆夫さんは、血圧を下げる薬やら、前立腺の薬などは飲んでいるものの、自宅でピンピンしながら暮らしてる。
だからこれには当てはまらないはずだ。
とすると……
事故か？
事故に巻き込まれたのか？
しかし
朝の8時に出かける人ではない
それはよく知っている
とすると……
事件か？
事件に巻き込まれたのか？
僕の鼓動が少しだけ早くなった。
＊
「そうです。岡田隆夫は私の父ですが」
僕は冷静に応えた。
「私、鳥取市立病院の◯◯と申します」
……えっ？
病院からなの？
なんでなんで？
入院もしてないのに？
ってことは
ひょっとして救急車で搬送されたとか？
可能性としてはそれ以外にありえないだろう。
鼓動がもう少し早くなり始めた。
「実はですねーー」
「はい」
「昨日、隆夫さんが定期検査でいらしたんですけどーー」
「はい」
「お薬手帳を忘れて行かれてまして」
「はぁ」
「書かれている番号に電話したんですけど、「現在使われておりません」となるんですよ」
我が実家はセールスの電話が多く
詐欺に引っかからないためにも、という理由で
春先に固定電話をやめてしまっていた。
「あ、すみません。先日、固定電話を解約してしまったものでして」
「そうですか。それでね、予備の連絡先にあなたの携帯番号が書かれていたものでして。こうして連絡したわけです」
「はぁ」
「手帳、いつ、取りに来られます？」
ええっ？
えええっっっ？？？
ええええええぇぇぇぇぇぇっっっっっっつつつつつつ？？？？？？
お薬手帳を忘れたという連絡でしたか？？？
それが朝の8時ですか？？？
お早いですね！！！
いや
あえて言わせていただきます！！！
早すぎませんか？？？
おかげでいろんな想像しましたよ！！！
僕も役者の端くれでして！！！
「どれだけ想像できるか？」が仕事みたいなところがあるもんでね！！！
はぁはぁはぁはぁ……
僕は興奮を抑えて言った。
「あ、本人に連絡してみますので。ちょっと今、時間まではお約束できませんが」
「今日の午後ならこちらからご自宅までお持ちしますけど」
えっ？
そんなサービスしてくれるの？
お薬手帳を？
わざわざ？
「いや、そうしてもらえると助かりますけど。……良いんですか？」
「ええ、結構ですよ。午後は隆夫さんはご自宅にいらっしゃいますか？」
その時間はパチンコに行ってる可能性が高い。
「ひょっとすると留守かもしれません」
「じゃあポストに入れておきますね」
「あ、はい」
こうして電話が切れた。
＊
昨日、ポストにお薬手帳が入っていたらしい。
それは良かったのだが……
結果だけ言うと
昨日の朝の電話は必要だったのだろうか？
僕がドキッとしただけじゃないのか？
百歩譲って連絡もらえたのはありがたいけど
それにしても時間が早すぎやしないか？
など、モヤモヤしながら劇場に向かうこととなった。
お父さん、もうお薬手帳を忘れないでくださいね
＊ ＊ ＊
今日（10日）と明日（11日）のお昼の回
お席に余裕があるそうです。
迷われている方、お待ちしています！
では、また。