ども、久しぶりにセリフを口にした岡田達也です。
「今日から稽古開始だ!」
「よし、やってやろう!」
昨日の僕はそんなやる気に溢れていた
……はずだ
全身から緊張感を漂わせ
指定された席に座り
神妙な面持ちで
机の上に置かれた
まっさらな台本を見つめ
一呼吸入れて
「さぁ、読んでみよう」
と、台本に手を伸ばそうとした
そのときーー
「あ~ぁ、残念だなぁ」
左隣に座っていた山口良一さんがつぶやいた。
残念?
何があったんだろう?
山口さんがあからさまに落胆しているではないか
僕は声をかけた。
「どうかしました?」
「だってさぁ」
「はい」
「岡田くんが稽古に来てるってことはさーー」
「?」
「隆夫さん(僕の父)が出てくる日記が読めないってことじゃん!」
「……えっ?」
「俺、隆夫さんのファンなんだよ!」
なんてこった
ここにもいたか
隆夫ファンが
「いやいやいや! そりゃね、日記だけを読んでたら「お父さん、おもしろい人だなぁ」と思われるかもしれませんけど! それは僕が面白おかしく書いてるだけで、一緒に暮らしてる身としては大変なんですよ!」
「わかる、わかるよ。だけど、読者としてはそれくらいのほうが面白いんだよね(笑)」
「……」
「あ~ぁ、残念だなぁ」
こ、この人
僕が稽古に参加することより
隆夫さんが出てくる日記を書くことを望んでいる……
*
1作目が上演されてから5年
譲り合いとサービス精神を持った人たちばかりだから
舞台上もプライベートも
ずっと心地よい関係でいられた。
顔合わせで久しぶりに会った山口さんにそんなふうに言われて
「あぁ、きっとこれからもずっとこうなんだろうなぁ」
と思った。
そして、要らぬ緊張がほどけた。
山さん
ありがとうございます
*
まだ台本は完成してませんが
現段階で笑いっぱなしです。
楽しみにしててください。
5年前の2人
では、また。