ども、肉三昧な岡田達也です。

 

 

 

 

 

先日、母・秀子さんの友人であるMさんが我が家を訪ねてきてくれたとき。

Mさんは神戸在住なので

手土産に立派な神戸牛を持ってきてくださった。

 

「お口に合うかどうかわからないけど」

 

そう言って頂戴したお肉は

「美しい」としか言いようがない見事な赤身と脂身のバランスで

危なく肉に向かって土下座しそうになったほど見事なものだった。

 

「大丈夫です

僕の口に合わないのはキュウリとスイカですから

責任持って美味しくいただきます」

 

そう宣言して

初日はしゃぶしゃぶ

2日目はすき焼き

という贅沢三昧の2日間を過ごした。

 

 

神戸牛は本当に柔らかく

かといって必要以上サシが入っていないので

赤身の美味しさも感じられて

最高の食事を味わうことができた。

 

できることなら僕も神戸牛になりたいと思った。

 

 *

 

父・隆夫さんは好き嫌いの塊だが牛肉は大好きだ。


神戸牛を食べながら

「柔らかいなぁ、これはええ肉だなぁ」

と繰り返して満足そうにしていた。

 

それは間違いない

 

確かに柔らかくて美味しい

 

それは間違いないのだが……

 

父には

“柔らかい肉は高級品”

というゆるがない固定概念がある。

 

 * *

 

先日

鳥取ジャスコで「プルコギ」なる品を買ってきた。

 

安い牛肉のこま切れを 

甘みのきいたタレで漬け込んであるもので

あとはフライパンで炒めればできあがり

という品だ。

 

1パック398円也。

 

僕はここに玉ねぎを加え、カサ増しして食事に出してみた。

 

父は

「柔らかいなぁ、これはええ肉だなぁ」

と言いながらガッツリ食べていた。

 

 *

 

基本的にウソはダメだ

 

ダメだけど

時と場合によっては「人が幸せになるウソ」もあるんじゃないか?

……とも思う

 

 *

 

僕は父に言ってみた。

「そうでしょ? いい肉を買ってきたからね」

 

フルーツを一緒に漬け込んであるこのプルコギは

誰がどう調理してもとても柔らかく仕上がる。

 

「そうだろうなぁ。それは俺でもわかるで」

 

「……」

 

「これは柔らかいけなぁ、ええ肉だ」

 

「……」

 

僕はちょっぴり胸が痛んだが

満足そうに食べている父に「安物だ」とは言えなかった。


 *

 

「柔らかいことは正義である」

 

そんな隆夫さんの期待に応えるべく

僕はこれからも安くて柔らかい牛肉を探す日が続く。

 

 

 

 

 

では、また。