ども、話しかけられたのかもしれない岡田達也です。
鳥取には『ラ・ムー』という、でっかいスーパーがある。
ここに買い物に行くたび、どうしても菊池桃子ちゃんを思い出してしまうのだが、それは今日の話にはまったく関係ない。
僕の年代の方なら、この気持を理解してもらえるだろう。
先ほども書いたが『ラ・ムー』はでっかい。
店舗もデカいが、売ってる商品にも「メガパック」なんてのがある。
相撲部屋のちゃんこを作るときにピッタリだと思うが、残念ながら鳥取に相撲部屋はない。
それから何もかも安い。
「どうやったらこの値段で提供できるんだ?」と不思議になる。
あまりにも安いので
「これはお揚げに見えるけど、実はダンボールなのでは……」
など、ちょっと不安になったりするが、けっしてそんなことはない。
(あたりまえだ)
結果、多くの鳥取市民が買い物に来る。
*
「よく道を聞かれるんです」
とか
「知らない人に話しかけらやすいんです」
という人がいる。
僕はそのどちらでもない。
道を聞かれた経験は何度かあるけど、けっして多いほうじゃないと思うし
知らない人に話しかけられたこともあるけど、それは歌舞伎町の客引きなのでカウントしないでおこう。
*
『ラ・ムー』でパン売り場を見ていた。
僕はパンの香りが大好きなので、買う気がなくてもパン売り場に足が向いてしまう。
そこには見たことも聞いたこともない商品が置いてあった。
『カレーライスが入った大きなカレーパン』
……なんてことだ
カレールーではなくて、カレーライスが入ってるのか?
どうりでデカいわけだ
これ
食べ盛りの高校生か
「カレーは飲み物」と言ってる筒井俊作か
それ以外の人に需要があるんだろうか?
そんなことを考えていると
いつの間にか僕の隣に“僕より一回りほど歳上のお嬢さん”が立っていた。
その彼女が言った。
「あらら! これ、カレーライスが入ってるんだって! いやだわ~(笑)」
彼女は一人だ。
ってことは独り言か?
しかし、とても近距離に僕はいる。
いや、僕しかいない。
ちょっと嫌な予感がした。
次に彼女は、ハッキリと、僕に向かっていった。
「誰が食べるんだろうね~、これ? いやだわ~(笑)」
「食べ盛りの高校生か筒井俊作でしょう」
と答えるべきだったのだが
それ以前に
なぜ文章の最後に必ず「いやだわ~」と言って、そして自分で笑うのか?
その“おばさま特有のメカニズム”に僕はちょっとおかしくなって笑ってしまった。
僕が笑ったのを見て、お嬢様は満足気にその場を離れていった。
おそらく、自分の発言がウケたと思ったのだろう。
僕は
自分が話しかけられたのか?
それとも
テニスの壁打ちの壁なのか?
自問自答を始めた。
そして。
お嬢様は少しだけ移動し
パン売り場の隣りにあったワゴンに山積みされていた、大きな袋に入ったブロックチョコを見てこう言った。
「うわ~、ブロックチョコだって! いやだわ~(笑)」
僕は、今度は
なぜこの年代の女性の多くが「いやだわ~」と発言するのかを考え始めた。
未だに答えは出ていない。
では、また。