ども、学生時代はマルシンハンバーグにお世話になった岡田達也です。
以前、僕の尊敬する知り合いが言った。
「最近、ハンバーグを自分で好みの焼き加減に仕上げるお店が流行ってるみたいだけどーー」
「あぁ、ありますね。焼けた石が鉄板に乗ってるやつですよね?」
「そうそう。そこでレアな肉を良い加減に焼くっていう」
「聞いたことはありますけど、僕はまだ食べたことが無いですね」
「私に言わせればねーー」
「なんでしょう?」
「しゃらくさい!」
「え?」
「そんな小細工しないで、最初っから美味しい状態で持って来い! ……と、私は言いたい」
これには思わず笑った。
もちろん、焼き加減など人それぞれ好みが違うだろうから
「あなたのお好みで焼いて召し上がってね。うふっ」
というのも一つのサービスだろう。
だが、「しゃらくさい」の一言で一刀両断する気持ちもわかる。
ハンバーグなどチマチマいじってないで、ガッツリとかぶりつきたい。
そもそもグリルしてある料理を再び焼くというのは、僕のようなせっかちな人間には手間に感じられるし。
僕はこの話を聞いて以来、ハンバーグ問題についてかなり真剣に考えていた。
*
昨日の夜のこと。
突然、肉が食いたくなった。
しかも牛肉だ。
肉を喰らうのに理由なんか必要ない。
脳が、体が、「肉をくれ!」と叫んでいるのだ。
その期待に答えてやることはとても大切だ。
ここでカップラーメンなどを選んでしまった日には、今日の稽古に行かなくなる危険性すらある。
(自分を甘やかすのだけが得意なんです)
一人焼肉か、一人ステーキか、一人しゃぶしゃぶか?
大いに悩んだ挙げ句
「サラダバーが付いてると健康的だよな。それに「野菜を食べると0キロカロリー」
って、サンドウィッチマンの伊達くんが言ってたし」
というのが決め手になってステーキハウスに入った。
*
自分の欲求どおりにステーキを食べておけば良かったのだ。
「あ、ハンバーグがある。しかも自分で焼くタイプだ……」
僕の膨らんだ好奇心は抑えられず、ステーキではなく、『牛っとこぶしハンバーグ』という不思議なネーミングのハンバーグを頼んだ。
可愛いお姉さんがサーブしてくれた。
ジュウジュウと良い音を立てている。
これを、焼けば、良いのだな……
僕はハンバーグを真っ二つに割った。
想像では、真っ赤な、もしくはピンク色の断面と
そこから流れ出す肉汁を想像していた。
真っ白な、いや、グレーがかった断面が現れた。
うんうん
しっかり熱が通っているではないか
感心、感心
……って
そうじゃねぇだろおおおおおぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!
なんだよこれ???
ガチガチに焼き上がってるじゃね~か!!!
これを石に付けたら、ただの焦げ焦げハンバーグの出来上がりになるだろうが!!!
いや
待てよ……
僕が知らないだけで、ひょっとするとこういうものなんだろうか?
僕は2つに切った一切れをさらに半分にして頬張った。
十分だ。
十分に火が通っている。
もうこれ以上、1ミリも火を通す必要はない。
まるで煮込みハンバーグのようだ。
というか、固い。
僕は一度も焼けた石を使用することなくハンバーグを完食した。
あぁ
ステーキにしておけば良かった……
*
今、大変モヤモヤしている。
こういうものですか?
これが世間で流行ってるハンバーグですか?
それともシェフによるブレの範疇ですか?
それとも提供時間短縮のため、レンジで温めて焼き目だけ付けてるとか?
あぁ、悩ましい……
この謎が解けるまで、今日は稽古に集中できないだろう。
では、また。