ども、ドライバー岡田達也です。

 

 


大学在学中に就職活動もせずフラフラしていた僕に

「おかだくん、やりたいことがないのなら役者を目指してみない?」

と、学科の高木先生が声をかけてくれた。

ただただ“東京に行きたい”という希望しか持ってなかった僕は渡りに船とばかり

「先生がそう言ってくださるなら、僕、役者を目指します!」

と、バリバリに後付けの理由で東京に来ることに成功した。

 

そして東京で2~3年働いて、その後は鳥取に帰り、ちゃんと就職するつもりだった。

 

ただ。

高木先生とのやり取りが、心のどこかで引っ掛かっていた。

「役者になれるわけないし、なる気もないし、そもそも芝居に興味もない。けど、先生にあぁやって言ってしまったしなぁ。……何もしないってのはどうなんだろう?」

 

そこで、とにかく芝居を観ることにした。

それくらいしかやれることはない。

とりあえず小さな会社に就職し、月に3~4本。

演劇の知識がまったく無かったから『雑誌ぴあ』を読んで、当てずっぽうで芝居を選んだ。

ジャケ買いと同じ感覚だ。

 

 

半年ほど経ったころ。

「どうやら舞台俳優は貧乏だ」ということを知った。

 

僕は

何を思ったか

良くしてくれていた会社を辞め

給料の良い

配送ドライバーに転職した

 

今でも、あのときの自分の行動が理解しがたい。

 

なぜだか

「役者になるならお金を貯めておいたほうが良いんだろうな。ならば給料が少しでも高いところへ行くか」

と思ったのだ。

 

役者になろうなんて決意はしていなかったはずなのに

だけど、フワッとした

本当にフワッとした

「もしかしたらそっちの世界に行っても面白そうだな」

というような気持ちが湧き始めたのだと思う。

 

 

こうして

僕は2tトラックで都内を走り回るドライバーになった。

 

 *

 

今日から『リトル・ドラマー・ボーイ』の稽古場が八王子に移動する。

 

「達也さん、21日、トラックの運転をお願いしてもいいですか?」

製作部から依頼があった。

 

こういうとき僕は役立つ。

舞台上より活躍する。

 

そして思うのだ。

「あのとき、妙な鼻が利いて、配送ドライバーになっておいて良かった」と。

 

 

というわけで。

今日は『アトムが来た日』の稽古休みを利用して

八王子の稽古場仕込みのお手伝いしてきます。

 

 

 

では、また。