ども、世間が連休だということを今朝知った岡田達也です。

 

 

 

若様組まいる

無事に初日の幕が開いた。

 

ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

 

 *

 

本番中、舞台裏にいると

最初の出番を終えた小多田直樹くんが話しかけてきた。

 

「柄にもなく、めっちゃ緊張しましたわ」

 

「柄にもなく」は一種の照れ隠しであって

誰だって多かれ少なかれ緊張はするものだ。

とくに初日は。

 

僕は言った。

「でしょ? 残念だけど緊張は減らないよ。不思議なもので歳を取れば取るほど増える一方だよ」

 

彼は続けた。

「前は全然そんなことなかったんですけど……」

 

「ん?」

 

「今はしゃべりながら「セリフを間違えるんじゃないか?」とか、「セリフが飛んじゃうんじゃないか?」って怖さが襲ってくるんです」

 

わかる。

とてもよくわかる。

 

若い頃は

「セリフを間違える」

「セリフを忘れる」

「セリフをかむ」

なんて

少なくとも自分は絶対に無いと思っていたし

実際そんなミスはしなかった。

 

だけど今は違う。

自分のことを信用していない。

いつだってそんな恐怖と背中合わせで舞台に立っている。

 

で。

実はこの現象、僕だけではないらしく

多くの先輩俳優に「いつかそうなるよ」と言われていた。

 

若い僕は「そんな馬鹿な」と心の中で思っていたものだ。

「なんでセリフを忘れるなんてことがある?」

「逆にどうやってセリフを間違えるのだ? しっかりと覚えた台本だぞ」

「セリフをかむ? ないないない」と。

 

思うに。

若い頃はマシンのようにセリフをしゃべるだけなので

(もちろん本人は一生懸命演じてるつもりですよ)

ミスする可能性すら考えられない状態だけど

 

マシンに血肉が通い始めると

いろんなものが見えてくる。

 

そう

どんどん“人間になっていく”のだ。

 

人間になると目が見えて視界が広がる

人間になると脳みそが回り始める

 

もちろん人間になったからミスしていい、というわけじゃない。

「間違える恐怖」「ミスする恐怖」を感じながらも演技するしかないのだけど。

 

 *

 

まぁ、こんな話をみなさんに聞かせてもしょうがないが

これは書き留めておきたいことだったので。

 

一部の天才俳優を除けば

みんな同じような怖さを持って舞台に立ってるものなんです。

 

 

小多田くん、今日も頑張ろうぜ。

 

 

 

では、また。