ども、ツーファー予備軍の岡田達也です。

 

 

 

若様組まいる

稽古が進んでいる。

 

稽古も進んでいるが……

それと同時に、僕の取り調べも進んでいる。

 

 

今回は総勢20人以上のキャストがいるので

稽古場でもギューギュー詰めで座っているのだが

たまたま僕の隣に座ったのが和合真一くんだった。

 

はじめましてのご挨拶を交わした後、自然な流れで僕は尋ねた。

「和合くん、お酒好きな人?」

そんな香りがブンブンしていた。

 

「はい、大好きです」

 

やはり。

 

「達也さんも好きって言ってましたよね? ぜひ飲みましょうよ」

 

僕は顔合わせの自己紹介のとき

「お芝居、頑張ります!」

とか言えば良かったのに

間違えて

「軽いアル中です」

と言ってしまった。

もう、酒好きは知られている。

 

「いいねぇ、飲もうよ。ただ尿酸値が高くてね、無茶飲みできないけど」

 

「尿酸値、いくつですか?」

 

「今は落ち着いてて6.8(基準値は7.0以下)」

 

「問題ないです。僕は一時期9.0をキープしていました」

 

「ええええぇぇぇぇっっっっ!!!! 和合くん、もしかしてーー」

 

「はい、痛風持ちです」

 

「発病したの?」

 

「とっくに」

 

尿酸値が高くても痛風が出るとは限らない。

この”発病するか否か”がツーファーたち最大の問題なのだ。

 

「痛風持ち」か、それとも「痛風予備軍」か?

 

僕は基準値を行ったり来たりの綱渡りをしているものの

幸い、まだ発病はしていない。

 

「お医者さんから「発病したら舞台なんか立てませんよ」って脅されてるんだけどホント?」

 

「ホントです」

 

僕は痛みに弱い。

絶対に発病は避けたい。

「どれくらい痛いのか」

それを聞いておけば自分を律することができるのではないか?

 

そう考えた僕は取り調べを始めた。

 

「どれくらい痛いの?」

 

「舞台に立つとか立たないとかとの話じゃありません」

 

「え?」

 

「そもそも靴が履けませんから。いや、靴下すら無理です」

 

「……噂は本当なんだね」

 

「痛みで目眩がします」

 

「……め、めまい?」

 

「もちろん足が痛いんですが、その痛みがひどすぎて頭がボーッとしてくるんです。そして目眩がします」

 

「……」

 

「松葉杖がないと歩行すら無理です」

 

「……」

 

「発病した自分を呪いますよ」

 

効果は……

抜群だった。

想像以上だった。

 

僕は身が引き締まる思いだった。

 

「ありがとう。気をつけるよ」

 

「いや、逆に一度発病してみるのも良いかもしれません」

 

「……」

 

「どれほどのものか身をもって知るのも」

 

取り調べは終わった。

 

何もしていないのに

僕は追い詰められた犯人のような気持ちになっていた。

 

 *

 

和合くん、とてもエッヂの効いた芝居で稽古場を楽しませてくれている。

きっと本番でも炸裂してくれると思うので楽しみにしててほしい。

 

 

 

では、また。